結婚、のち恋。
大川なおみ
【第1章】第1話 出会い系サイト
そろそろ梅雨も明けようかという朝、東京近郊のある住宅街に建つコロニアルスタイルの白い小ぢんまりした家から、可愛らしい家には
その2人に、ドアから半身を出した女が
「行ってらっしゃい、気を付けてね~」
と、笑顔で声を掛けている。
男はでっぷり
しかし、実は4歳しか離れていないと言うと、みな一様に驚くのだった。
夫の
大河
この後、瑠色も夫の事務所へ出勤し、経理や、数人いる弁護士やスタッフの労務管理の仕事をするのだが、その前に一通り、家事を片付けなければならない。
まずはさっさとテーブルの上の皿を食洗機へ入れ、それから洗濯機を回し、玄関の内と外でほうきをかけ、ドアの両脇にしつらえたテラコッタの鉢植えに水をやり、室内へ戻って手際よく掃除を済ませる。
インテリア好きの
散らかし屋の男2人を送り出した後は、一通り片付いたフレンチコロニアル風の部屋を眺めつつ、お気に入りのカップに紅茶を淹れてゆっくり頂くのが、瑠色には至福の一時だ。
ところが、今日の彼女は、2人を見送って玄関ドアを閉めるなり笑顔を消し、「はあっ」と大きくため息をつくと、だらりと体を弛緩させ、リビングのソファにドサリと腰を下ろした。
なにやら、ふて腐れてさえ見える。
片付けも一切やろうとせず、紅茶も淹れず、散らかったままの部屋の中でソファに寝そべる姿は、いかにも気だるい。
彼女はスマホを手に取ると、なにやらしばらく検索していたが、どうやら目的のものを見付けたらしく、じっとテキストを読んでいる。
それは、ある大手出会い系サイトのホームページだった。
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