第14話 ヒナとの再会1

「カガミュートおにーさん、もしかして私を指名してくれたですかー? 嬉しいですー!」


 ヒナは初めて会った時のように、笑いながらダブルピースをする。


(どうしてここにヒナがいるんだ?)

(ここは娼館なんだろう?)

(……ということは、ヒナは、娼婦だったのか?)

(こんなに小さいのに?)

(俺はこれから……ヒナと○ックスをするのか?)


「い、いや、ち、違うんだ。俺はただ、仲間に無理やり連れてこられて……全然っ、そんなつもりじゃ」


「そうだったのですかー。わはー」


(……俺はヒナと○ックスがしたいのか?)

(したかっただろう。あれだけ散々ヒナで抜いたのだ。それは認めよう。)

(それなら、どうして俺のちんこは今、勃っていないのだ?)

(ヒナが娼婦だったからか?)

(ヒナが俺が童貞なのにも関わらず、見ず知らずの男どものちんこを知り尽くしているのが嫌なのか?)

(そんなことはキモオタ童貞の卑しき処女崇拝でしかない。それは頭では分かってる。でも、それならなぜ俺のちんこは勃たないのだ……?)


 そこで俺は気づく。俺はヒナを助けて、それで、色々あってヒナとイチャラブ展開に発展してから○ックスしたいと思っていたのだ。


 そんな山賊のように暴力にものを言わせて○ックスしたり、風俗のように金にものを言わせて○ックスしたいわけではない。だから俺のちんこは今勃っていないのだと、そう思い込んだ。


(あの日はあれだけ楽しく話をして、ああいったイチャラブをして……そうだ。)


「は、話を、したいな」


「おはなしですかー? もちろんです! わはー」


「ひ、ヒナの話を、聞きたい」


「えー、私のお話ですか? 恥ずかしいですー。そんなに面白いお話じゃないですよー?」


「い、いいんだ。ヒナは、いつからこ、ここで働いてるんだ?」


「うーん、5、6年前?くらいですー」


「ええっ、そんなに前から!?」


(いきなり予想外の答えが来たぞ……そんなに小さい頃から○ックスなんてできるものなのか?)


「はいですー。多分6歳か7歳?ぐらいのときにここに売られてきて、それから先輩さんたちの身の回りの世話や雑用をしてたですー。それで、最近ようやく先輩さんたちみたいにお客さんをとれるようになったですー! わはー」


(そういうことか。そうするとヒナは今12、13歳辺りということか。)

(年齢を毎年数えるという習慣がこの世界にはないのだろうか?)

(それにしても、そんな子供の時に両親に売り飛ばされたってか? クソオブクソな話だな。)


「売られただって? 最低の両親だな」


「あはは、でも本当の両親かどうかは、よくわからないですー。わたしはずっと、カッコウの雛だと言われて育てられたですー。知ってますか? カッコウって鳥は、他の鳥の巣に卵を産んで、そのまま他の鳥に子供を育てさせるらしいのですー。私は、それだって言われてたですー。元々うちの子じゃないんだぞーと。兄弟姉妹もいたですが、私だけ生まれつき髪の毛も白いし、そういうものだと思ってましたー。預かってる子だから、みんなよりご飯も少なく、ずっと畑仕事をするものだと思ってましたー。お腹空いても〈肉体再生〉で死にはしませんし、手に豆ができてもすぐ治りますしー」


「そう、なのか」


「でも先輩さんで同じ〈肉体再生〉スキルをもってる方がいて、その人も髪の毛が白いですー。〈肉体再生〉スキルを持ってる人はそうなるみたいなので、やっぱ本当の両親なのかなーと。わはー」


「……へぇ、先輩でも〈肉体再生〉持ちがいるんだ」


「はいですー。珍しいスキルみたいですが、乱暴に扱っても死にませんし、処女膜も治るので娼館に売られる人が多いとボスが言ってましたですー」


(…………。)


「そう、なんだ……。ボス?」


「顔に火傷の痕がある女の人ですー。自立してて、とってもカッコいいですー。憧れるですー。わはー」


(あぁ、あの受付にいた女の人か。あの人がこの娼館のボスなのか。)


「それにしても、本当にお話するだけでいいですかー? カガミュートおにーさんもお金いっぱい払ってるではないですかー?」


「す、するって、あの……あれだよな? あ、えっと、ヒナはどうなんだ? 痛くはないのか?」


「わはー。カガミュートおにーさんは優しいですねー。痛いですけど、そういうものなのですー。それに、すぐに治っちゃうから大丈夫ですよー。私、丈夫さだけが取り柄なのですー。わはー」


「……じゃ、じゃあ、いいかな。元々、お話だけのつもりだったんだ。いや、俺、そういうの、間に合ってるし」


(死ぬほど大見得を切ってしまった!)

(完全に嘘だ。本当は○ックスしてみてえよ!)


「わはー。カガミュートおにーさんならそうだと思ったのですー! さすがなのですー」


「ほら、無理やり連れてこられたって言ったろ? そういうことだよ」


「大変だったですねー。でも、私はまた会えて嬉しいのですー。わはー。あれ、そのプレート、もしかしてカガミュートおにーさん冒険者さんになったですかー!?」


「んあっ? あ、あぁ。そうだよ」


(……まあ会えて嬉しだって?)

(ヒナもそう思ってくれていたのか!)


「カッコいいですー!」

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