スケッチブック

林 ゆう

宝箱

確かに、集めては箱の中に隠しておいたのに、気づいたらいつも空っぽ。

大切な物を、入れて置いたのに空っぽ。


あの日の空の色や海の色。

美味しい珈琲のお店の名前や街の名前。


忘れたくないトキメキの音。


たぶん、あなたが買った紫陽花の花。

たぶん、あなたが買ったレコード。


いつの間にか、

何もかもが、

消えて行くのは、

仕方が無いことかもしれない。


いっぱいになると、

もう入れられないからね。

消えていってもいいのかもね。

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