スライム使いの日常@しばらく更新停止中
青白い魚
第1話 スライム使いの思いつき
スライム使い……初めて見たが珍しさと強さが見合ってないな
体について溶かすだけって!!待ち伏せ!無理無理!
君は資格がない。スライムを扱えるだけではこの世界でやっていくのは難しい。モンスターブリダーズトーナメントなんて夢のまた夢だ
スライムの大道芸見せてよ。大道芸人さん。
そんな言葉ばかり浴びてきた。だから絶対に見返してやる。俺がスライムがなんたるかを教えてやる!
そう決意して早半年が過ぎた。俺の名前はアユム。スライム使いのアユムといえば右に出る者がいないほどの有名人である。
「おい、アユム。諦めたのかモンスターブリダーズトーナメントは?」
「諦めてはないけど……。ううん。諦めた」
「どうした?今日はやけに塩らしいな」
この人は俺の宿長であるハンスさんと言う。俺みたいな半人前魔獣使いを雇ってくれている聖人みたいな人だ
「たが勿体無いよな。普通なら使うことは不可能とされていたスライム族を使える能力を掃除にしか役立ててないっていうのは」
俺の能力は魔獣使い歴史の中で1度も成し遂げられなかったスライム族の魔獣使役術であった。
物覚えがついてから俺はスライムと友達になることができた。
時には優秀な若者、未来ある魔獣使いなどとチヤホヤされていたがスライム族しか扱えないとなると皆手のひらを返した。
弱いスライムなんか使えたって無理だとか
そもそもスライム自体が攻撃手段を持ってないだとか……正しくは着いて溶かすという捕食手段という攻撃方法があるが、あまり意味を成していない。
半端魔獣使いの道を志したせいで他の職にも就くことができずこうしてだらだらとスライムを使った掃除を借宿の家賃代わりとして行っているのだ。
「綺麗になりましたから、少し出かけてきます」
「おうよ。帰り遅くなるなよ」
俺は借宿を出て眩しい日差しの中、歩き始めた。
何をするわけでもなく、強いて言うのならば新たな仲間探しを始めていた。
「まぁそうそう居ないよな新種のスライムなんて……。とりあえず疲れた。スイミ、スイト。これ持っててくれ」
俺は護衛用につけていた剣と盾を強引にスライム達に持たせると森のど真ん中で大の字になった。
あー無理がある。スライム自体の性能は子供の頃から使っているから分かる。
足の速さもないし、攻撃力もない。耐久性も核を壊されたらお終いだし、そもそも魔法耐性が極めて低い。言ってしまえばデコイそのもの。
はぁ……なんでこんな能力を持って生まれてしまったのか…。スライムが悪いわけではないが、やるせ無くなる。
「せめて他の魔獣が使えれば……」そんな考えも束の間、茂みが大きく揺れた。唸り声と茂みをかき分ける音、大きな湯気がその魔獣の大きさを物語った。
「狼族か……それもシルバー種か?」
真っ赤な瞳に白銀に輝く体。雪山の影狩人と呼ばれ、雪山なら白い体の素早い身のこなしで1度目を離すと影しか追えなくなる。
「それがなぜこんなところに?……スイトラ!!」一応待ち伏せさせといてよかった。
呼び声と共に1匹のスライムが魔獣目掛けて飛びかかる。すかさず近くに待機していたスライムも飛びかかる。
正直言って、森の中ならスライムの専売特許!どんな上位魔獣ですら身動きが取れなくなる。
とりあえず「スイミ、スイト。剣を……」
この時に思った。スイミとスイトが健気に剣と盾を渡してくる姿で
「待ってくれ、スイミ、スイト。その剣と盾を持ったまま、あいつに飛びつけるか?出来るなら突き刺す事も可能か?」
そう聞くとスライムはゆっくりと魔獣に近づくと飛びかかりゆっくりと仲間たちの体を通して魔獣の体へと突き刺した。
魔獣の叫び声がこだまし、やがて動かなくなるとスライムたちに消化され骨だけへと変わり果てた。
「上位魔獣だよな?シルバー色の狼魔獣って…スライムだけでも行けたな」俺はいいことを思いついたと他のスライムに道具を掴ませるを覚えさせる。
「意外とスライム達は難なく道具や武器を掴める!!」知らない一面であった。思い返してみればそうである。基本的に何かに捕まり待ち伏せタイプのスライム族。何かを掴むのは至極簡単なことであろう
「よしこれなら!!運搬の仕事ができる!!」
俺はスライムの新たな一面を見ることができた。
その後スライムの運搬はうまくいかないことが判明する
足も遅いし、装飾や木箱にスライムの体液が染み込みダメにする。
俺はまた振り出しへと戻った。
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