No.32:合コンですかぁ?!!
「瑛太さん、もしお時間がありましたら、家へごはん食べにきませんか?」
「ん? ああ、そうだね。ご挨拶も兼ねて行ったほうがいっか」
「というか、お母さんが連れてこいってうるさいんです。あと妹も」
「妹さん、中学生だったっけ?」
「そうなんですよ。あの……この間、夜に送ってもらったじゃないですか」
「うん」
「その時に2階の窓から、私と瑛太さんを見ていたらしくて」
「えー、そうだったんだ。それで興味津々ってわけだ」
「そうなんです。その……か、彼氏とか、そういうんじゃないって言ってはあるんです」
「あはは、それは大変だったね」
それからしばらく、明日菜ちゃんは顔を少し赤らめ、下を向きながらお好み焼きをついばんでいた。
「あのー、瑛太さん。聞いちゃっていいですか?」
「ん? なにかな?」
「その、高校の時とかに……お付き合いした人とか、いましたか?」
「えっ?」
えらくタイムリーな話題だな。
「え? いや、あの……深い意味はないんですけど……私自身、男の人と付き合ったことがないんです。だから付き合うって、どんな感じなんだろうって」
「ああ……どんな感じっていわれても」
俺は言いよどむ。
「一人だけ、いたんだよ。高校の時に付き合った子が。俺の初カノだった」
「そうだったんですね」
「高2のときにつきあい始めて、3年の春に振られちゃったよ」
「えっ? そうなんですか? どうして……」
「お友達に戻りたいって」
「……ごめんなさい。聞いてはいけませんでしたね」
「そんなことないって。ああでも……」
俺は迷った。
これ、言わない方がいいのか?
「?」
「い、いや、なんでもない」
「その……その人は、まだ長野にいらっしゃるんですか?」
「いや、それが……」
やっぱ隠すのはよくないか……。
「ついこの間、会ったんだよ。その彼女と」
「ええっ?!!」
明日菜ちゃんが突然立ち上がった。
「ちょ、ちょっと待って下さい! なんでそんな展開になってるんですか!?」
「お、落ち着こうか、明日菜ちゃん。そんなに興奮することじゃないだろ?」
マジでこのパターン、多くないか?
それにしても、やっぱ言うんじゃなかったな……。
嘘をつけない体質っていうのも、考えものだ。
体質改善に努めよう。
「で、でも、そうですよね……。会うことだって、ありますよね。ということは、その人も東京へ出て来てらっしゃるんですね」
少し落ち着いて座った明日菜ちゃんが、そう続けた。
「ああ。この間合コンに行ったら、偶然そこにいたんだよ」
「ご、ご、合コンですかぁ?!!」
彼女はまた、勢いよく立ち上がった。
「ご、合コンっていうのは、複数の男性が女性を酔わせて、いけない所に連れ込んで、いけない行為をするという、あの合コンですか!」
「合コンに対する偏見がひどい!」
俺はきちんと説明した。
人数が足りなくて、誠治に頼まれて渋々参加したこと。
当然未成年だから、アルコール抜きで食事をしたこと。
5時半スタートで、終わったのも早かったこと。
終わったあと、美桜と話して友達になったこと。
「そ、そうだったんですね。すいません、取り乱してしまいました。でも凄い偶然ですね」
「俺も本当にそう思うよ」
「でも、そこでお友達になりたいっていうのは……」
明日菜ちゃんは、小声で何か呟いた。
「ん? どうしたの?」
「えっ? いえ、やっぱりなんでもないです」
明日菜ちゃんはお皿に残ったお好み焼きを、また少しずつ食べ始めた。
◆◆◆
※新作のご案内
本日より、新作がスタートしました。
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席替えで隣になったイケメン御曹司とは、もうこれ以上何も起こらないはずだった。
https://kakuyomu.jp/works/16816452220943594961
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俺様でイメケンボッチの社長御曹司と、家が貧しいけれど頭脳明晰で心優しいヒロイン。
素直になれない二人の身分差ラブコメディーです。
初日は5話投稿となります。
是非ご覧下さい!
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