愛すべき彼氏たち
平 遊
彼氏な上司
私の彼は、職場の上司です。
付き合っているのは、誰にも内緒。
とても優しくて素敵で仕事もできて、女子の憧れの的の彼。
でも。
「ただいま・・・・」
「遅い。」
私の家で、仏頂面の彼が私を出迎える。
「えっ?!あっ、トモ達とご飯してて・・・・」
「聞いてない。」
「ごっ、ごめんね?でも、週末のこと聞いても、何にも言ってくれなかったから、サトシさん、忙しいのかと・・・・」
「お前より大事な用なんか無い。」
プイッと顔を背けて、ソファーに深く体を沈めてしまう。
すっかりスネスネモード。
(どうしよ・・・・)
スネスネモードが発動されると、結構面倒で。
そーっとソファーの横を通り過ぎようとしたとたん。
ボフボフッ
顔を背けたまま、彼が自分の隣を強めに叩いた。
(あちゃー・・・・)
それはつまり、『ここに座れ、今すぐに!』という、合図。
「ちょっとだけ、待ってくれる・・・・」
ボフボフッ
私の言葉を全拒否するように、彼は再度ソファーを叩く。
「・・・・はいはい。」
諦めて、私は彼の隣に座った。
座ったとたんに、そっぽを向いたまま、彼が私の手を握る。
「映画行こうと思ってたのに。アキが行きたいって言ってたやつ。」
「えっ?」
「仕事終わったらもういないし。」
「ごめんね?」
「別にいいけど。」
(よくないくせに。)
彼に握られている手が、じんじんと痛い。
「明日、連れてって欲しいな。」
「ん?」
やっと、彼が私を見る。
「連れてって。」
「そうか?」
できる限りの笑顔で、彼におねだり。
「サトシさんと一緒に行きたい!」
「・・・・仕方ないな。アキがそんなに言うなら、連れてってやる。」
まんざらでもない顔で、彼は私の手を離し、その手で私の頭を胸に引き寄せる。
「楽しみだな。あ、アキが食いたいって言ってたアレも、食いに行こうな。」
サトシさんの鼓動が、早くなってきて。
顔を上げた私に、彼の優しいキスが降ってきた。
こんな彼を見られるのは、私だけ。
ちょっと面倒な時もあるけど、私、すごく幸せです。
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