バーサーカーブレンド(仮)

犬小屋

第1章 僕だけ違う異世界転移

第1話

 僕はどこにでもいる高校生の木村 和彦だ。今こんな余裕そうだが実は僕の乗っている船は沈没して部屋の天辺まで海水でいっぱいだ。

 そして既に酸欠で指一本動かせないのである。意識が遠くなっていき僕はゆっくりと目を閉じた・・・。

 

・・・・

 

「成功だ!!」

「やったぞ!」

「すごい数だな」


 ガヤガヤと耳障りのよくない声や音で目を覚ました、そこには海の藻屑となったはずのクラスメイト達が中世風の鎧に身を包んだ奴らに囲まれているのだ。


「俺達の乗ってる船って沈没したよな?」

「あぁ・・・ここって」

「「異世界だ!!」」


 ゲームや映画などサブカルチャーの好きな奴らは顔を合わせて喜んでいるがそれは極一部でほとんどのクラスメイトは青い顔をして震えているのが見えた。


「諸君、こちらに注目してもらいたい。」


 赤い豪華な鎧に身を包んだ30代くらいの男が一歩前に出て声を上げる。


「異世界の勇者達よ。君達の来訪を心から歓迎する。そして私達の国を救ってほしい。」

「そ、そんな。私達はただの高校生でそんな力はありません。家に帰してください。」


 クラスメイトの1人がテンプレの様な返答をすると先ほどの男が手を挙げた話に割って入った。


「これから厳しいことを言うかもしれないが聞いてほしい・・・」


 赤い鎧の男はザイールという名前でこの国の騎士団長であり、今回の召喚術の責任者という事だ。この召喚術が異世界から死ぬ寸前の者たちを呼び寄せてこの世界で新しい生を受けさせるというものだった。そしてこういう話によくある転移者特典が存在していて転移者は必ず職業が勇者で1つ以上の特殊スキルと言語スキルを取得しているという事だ。


 まぁ簡単な話死んだ僕達を生き返らせてやったんだから代りに働いて返せというものだ。この世界はよくあるネット小説の異世界そのものでレベルやステータスの様な物があり異世界人である僕達はレベル1からだが直ぐにレベルが上がりこの世界の人間を超えていくらしい。そして初めに言っていた私達の国を救ってほしいというのは約1年後に復活する魔王の討伐の事だった。

 

「まぁそういうわけだ。だがここにいる全員が戦う必要はない・・・・。」

 

 ザイールの話は続き、僕達が全員で魔王城に突撃して戦えって事じゃなくてこの中から選ばれた選りすぐりの転移者特典を持った数人が代表として勇者となればいいらしい。そして残った他の者はこの世界の一般人として普通に暮らしていいという事だ。

 

「まぁ詳しい説明などは後程にしましょうか・・・能力の確認と勇者の選定が終わるまでは全員兵舎にいてもらいます。部屋割りをするので2人1組でこちらに来てもらえますか?」


 クラスメイト達は他でできる事も無くいわれるがまま部屋から出て行き僕も最後尾にソロで並んだ・・・。だって誰も話しかけてくれないしちょっと悲しい・・・。

 

「おい!リュード?お前大丈夫なのか?ってよりなんで並んでるんだ?」


 はい?俺は木村だよ、兵士の1人がフレンドリーに話しかけてきたのだが僕はどうしていいわからずにそのままザイールの前まで来た。

 

「リュードよ。ご苦労であった。」

「・・・」

「・・・」


え?リュードって僕の事?

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