おまけ 富田林☆メロスのやらかし年表

1990年 出生


 メロス、正義に目覚める。


1993年 幼稚園時代


 メロス、特撮ヒーローに憧れてまだ見ぬ悪を倒すために町へ繰り出そうとするが、両親に阻止される。


1996年 小学校入学


 小学校低学年


 妹が産まれる。兄として妹を守らねばと幼心に火を灯すが、両親に「もうお兄ちゃんでしょ」と言われる度に、何か都合良く利用されているような気がしてもにょる。


 小学校中学年


 竹馬の友、常識セリヌンティウスと出会う。心ないクラスメイトにいじめられているセリヌンティウスをかばうも、メロスもいじめられてしまう。


 メロスは「いじめられることは誰にも言わないと約束してくれ」とセリヌンティウスに口止めされていた為、当初は黙っていたが、ある日「あ。でもこれ、犯罪じゃん」と思い立ち、下校中に交番に寄り道し、通報した。


 メロスのわかりにくい説明が誤解を生み。同時期に発生していた児童神隠し事件との関連性が疑われた結果、親、学校、生徒、警察を巻き込む大事件となる。


 小学校高学年


 先の「湖宗小学校、神殺し事件」を解決したメロスとセリヌンティウスは、正義の使徒、ギリシアコンビと呼ばれ、クラスメイトたちの相談に乗っていたが、セリヌンティウスはメロスの正義感についていけなくなっていた。


 ある日、メロスとセリヌンティウスに5年2組に圧政を敷く暴王を粛正して欲しいという依頼が舞い込む。依頼人たる月野ステンノに一目惚れしたメロスは喜んで請け負ったが、それは給食におけるプリンの所有権を巡る大いなる政治闘争のはじまりに過ぎなかった。


2002年 中学校入学


 中学生となったメロスは、自身の身勝手な正義と決別するためギリシアコンビを解散。陸上部へ入部し、長距離選手として健全な中学校生活を送っていた。


 一方、メロスの正しさが気に食わない月野ステンノはメロスを妬む先輩を唆し、セリヌンティウスを拉致。メロスは総合体育大会への出場とセリヌンティウス、どちらを選ぶか迫られる。


 メロスは当然のようにセリヌンティウスを選び、この男二人は愛し合っているのではないかと学校中で疑われることに。この噂によりセリヌンティウスは当時人生で初めて付き合った彼女と別れることになった。セリヌンティウスからすればたまったものではない。


 ちなみにあらぬ噂を流してメロスとセリヌンティウスの友情を破壊しようとしたのは、他ならぬ月野ステンノである。


2005年 高校入学


 セリヌンティウスは二度とメロスと同じ学校に通わないよう慎重に進学先を選んだが、受験に落ち、滑り止めとして受験していた高校に通うことになった。当然のように、メロスと同じクラスになり、頭を抱える。もはやここまで来ると運命を感じざるをえない。


 入学早々学級崩壊寸前のクラスを立て直そうと躍起になるメロスに辟易しながらも、行動を共にする。


 メロスは他校に通う月野ステンノに告白され恋仲になったが、ステンノが何の企てもせずに人に近づくわけもない。そう、新たな権謀術数けんぼうじゅっすうの始まりである。


 ステンノはあらゆる手練手管でメロスの心を折ろうとするが、一向に折れる気配が無い。正しさを憎悪し、否定しつづける彼女の歪みに感づいたセリヌンティウスは、偶然、ステンノの秘密を知る。ステンノはもう7年近く家に帰っていないのだ。メロスはステンノの恋人でありながら、その異常にまったく気づいていないのである。


 メロスとステンノの異常性に触れたセリヌンティウスは、初めてメロスの敵になる。


2008年 高校卒業、就職氷河期突入


 メロス、ニートになる。


2009年 バイトを始める


 元カノとなったステンノに「メロス様は資格を持っていないからまともに就職できないだけですよ。時代は資格です」と唆され、侍詐欺事件(いわゆる資格詐欺)に巻き込まれる。


 大学に進学したセリヌンティウス、メロスを助けるべく奔走する。


2010年 バイトをクビになる


 ステンノに「メロス様は不労所得というものをご存じですか? 今はあくせく働かなくても勝手にお金が入ってくる時代ですよ」と唆され、ネズミ講事件に巻き込まれる。


 セリヌンティウス、メロスを助けるべく奔走する。


2012年 日雇い労働者になる


 ステンノに「メロス様が今こんな状況なのは、メロス様が単に飛び抜けて不幸なだけです。メロス様は何も悪くはありません。この所有者に金銀財宝と札束プールを約束する霊験あらたかな壺を購入すれば、メロス様も必ずや……時代はスピリチュアルですよ」と唆され、霊感商法詐欺事件に巻き込まれる。


 セリヌンティウス、あきれ顔でメロスを助けるべく奔走する。


2014年 コンビニエンスストアのバイトになる


 ステンノに「メロス様、あなたも懲りない人ですね。でも大丈夫です。私がメロス様をお金持ちにするメゾットを教えて差し上げます。この情報さえあれば、メロス様も秒給200万ですよ。今は情報の時代ですからね」と唆され、情報商材詐欺事件に巻き込まれる。


 セリヌンティウス、またかと頭を抱える。


2018年 初めてクレジットカードを作る


 この話で書かれている部分なので割愛。


2020年 旭西金融に就職、その後


 ステンノに「メロス様、私。佳いことを思いつきました。ええ、改心したのです。本当ですとも。よく聞いてくださいね。あの河原に住む浮浪者たちに生活保護を受けさせて、上前をピンハネしたらいいんですよ。そうすれば国からお金ががっぽりがっぽり……時代は貧困ビジネ……NPO法人です!」と唆され、メロスはNPO法人を立ち上げようと決意する。


 当然、メロスは悪事を働く気は毛頭無い。


 己が胸内で燃える愛と誠を信じて、皆のために組織を運営するつもりだ。確かに運営費はいくらかいただくことにはなるだろうが、それ以上に生活保護を必要としている浮浪の民の為になると思った。


 しかし、メロスにNPO法人の立ち上げかたなどわからないし、資金もない。


 なので、知識についてはセリヌンティウスに調べてもらった。


 資金については旭西金融社長ディオニスに出してもらった。


 ディオニスが資金を提供した最大の理由はステンノの暗躍によって、心情的に断ることができない状況に追い詰められた為だが、メロスはその事実に気づかぬままである。


 多くの人に助けられ、時に失敗しながら、メロスは走る。

 その胸に在る煌めく魂と共に、走り続ける。

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リボ払いに走るメロス 間野 ハルヒコ @manoharuhiko

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