陽だまり

木陰がそこを避けるように、陽が差していた。風が吹いても、葉が落ちても、丸く差していた。


「そんないい場所を独り占めタァ、図太てぇ

子供でごぜぇます」

「日本語おかしいですよ」

「いやはや、人の子と話すのは久方ぶりなんでぇ」

「あなたは、何者なんです?

こんな幼気な美少女に話しかける奇特な人

なんて不審者ですよ?」

「幼気な美少女はこんな山奥に来たリャさーせん」

「ぬはは、言いよるわこの爺」

「わはは、だまれクソガキ。」

「そんな現代的な言葉をよくご存知で」

「生きるためにゃ、必要なことでさぁ」

「あなたは生を受けているのです?」

「何をおっしゃる、ここは此方側にごぜーます」

「おや、そうなのですか」

「貴女も奇特な方で、この場所にいつも居座るのも変な話で」

「危篤ですからね、私」

「おや、気づかなんだ。通りで妙にはっきりしないはずで、お若いのになんとまぁ」

「寿命ってやつです」

「おや、そりゃおかしい。まだ貴女は地獄帳に載っておられませぬ。なるほど、何か憑いているようで」

「幽霊が憑かれるので?」

「どうやら貴女は嘘を吐いている様で、黒猫を飼いましたな?」

「あぁ、あの仔そういう仔だったんですね。どうにも只もんじゃあないと思ったんです」

「この世のもんでもないでさぁ、妙なもんに魅入られたもんで……キトクの誼で、あっしとすげ替えてしんぜましょう。」

「は?」




「あ。」

紫の美少女は目を覚ました。

目の端に映った黒猫は、鳥の仮面にすげ変わっていた。

「今後ともよろしゅうございます」

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