白い広葉樹
クラウドストーリー代理
白い広葉樹
白い葉をつけた広葉樹林の道
空は鈍色に落ち込んでいた
いつの日にかアクリルガッシュで描いた風景と同じなような気がした
でも、何かが足りないような気がする
確かに自分は白い葉をつけた広葉樹を描いた
だが、その後それをどうしたか
売りに出した?友人に譲った?それとも屋根裏にでも放ったか?
いやぁ、違うなへらで破った。
しかも私には絵を譲るような仲の友人もいないし、売りに出しても売れるような絵でもない、それに私の家はあばら屋を買い取ってちょっと手を加えた様なお粗末なものだし
気に入らなかったか?
その絵が気に入らなかったから破ったのか?
どんな気分だろうと自分の絵を破ることなんて私はしたのだろうか
ふと壁を見る
白い壁がそこに佇んでいた
壁に掛けてある無数の額縁は全て焦げた茶が彩っている
まるで木の幹のように
壁には土色の扉が一枚張り付いていた
その上に黒いアクリルガッシュが扉に走っている
嗚呼、私は絵を破ったのではない
自分勝手に激昂しへらを投げ黒いアクリルガッシュを壁に切りつけたのだ。
この壁一枚が絵だったのだ。
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