第15話 side エレナ②
村を出発して数日、王都に到着した。
馬車は教会の前で止まり、御者に中に入るように言われる。
初めて教会に入ったけど、中はすごくキラキラしていて神秘的だった。
私が中を眺めていると、修道女と思われる女性に奥の部屋に案内される。
部屋に入るとあの時の神父様がいた
「やあ、エレナちゃん。待ってたよ」
「お久しぶりです。神父様」
「呼びつけて悪かったね。長旅は疲れてないかい?」
やっぱり、私を呼んだのは神父様のようだ
「いえ、疲れてません」
回復魔法を使えば疲れもとれるから便利だよね
「学校が始まるのは4日後だけど、それまではどうする?宿屋に部屋を借りてもいいし、1人が心配ならシスターの家に泊まってもいいよ。お金とかはこっちで払うから気にしないでね」
「宿屋に部屋を借りていただいてもいいですか?」
1人なのは心配だけど、知らない人と生活するのは緊張するから宿屋の方がまだいいかな
「わかったよ。ここの宿屋の店主にこの紙を渡せば泊まらせてくれるからね。」
神父様に宿屋の場所を教えてもらい、なにやら書かれた紙をもらう。
「ありがとうございます」
「4日後の朝に迎えに行くからね。学校で必要なものは私の方で用意しておくから気にせずにゆっくりしててね」
「わかりました。お願いします」
私は教えてもらった宿屋に向かう。
向かう途中、いろんな店に目を奪われるけど、お金がないので買うことはできない。
村から出る時にお母さんから少しもらったけど、これは何かあった時の為にとっておかないと。
宿屋に着いたので、お店の人に神父様からもらった紙を渡す。
宿屋で3食とも用意してくれるとのことなので、学校が始まるまでは宿屋に引きこもることにした。
4日後、神父様が迎えに来た。
馬車に乗って学校に行く。
私は初等部の2年に編入なので入学式では迎える側だ。
入学式と始業式が終わり、神父様と別れて言われた教室に向かう。
私は2年A組だ。
A組には貴族や実力が高い子が多いみたいなので緊張する。
教室で私は先生に紹介される。
私は自己紹介で村から来た事と水魔法と回復魔法が使える事を話す。
回復魔法はやはり珍しいみたいで、みんなに驚かれた。
貴族が多いって聞いてたけど、みんな話しかけてくれるし上手くやっていけそうだ。
今日から寮での生活になる。基本的にはお金が必要な事はないみたいだけど、何かお金を稼ぐ方法も考えないといけない。友達が出来たら買い物とか一緒にしてみたいし。水魔法が使えるし、皿洗いとかで雇ってくれないかな……
翌日は、体力テストを受けた。
結果は悪くなかった。クラスでも結構上位だ。
村にはなにもなかったので外で走り回っていることが多かった。知らないうちに鍛えられていたようだ。
さらに翌日、今度は魔力測定を受ける。
私の学院生活はここから狂いだした。
初等部ではスキルを覚えていない子がほとんどだけど、魔力は誰でも持っているらしい。
まずは測定器を使って魔力量を測る。
先生の計らいなのか、私から測定することになった。
私は測定器に魔力を注いでいく。
ボスっ!
測定器から変な音がした後、煙がでてきた。
私はビックリして測定器から手を離す。
もしかして壊しちゃった?なにか使い方間違えたかな?弁償しろって言われたらどうしよう。きっと高いよね……
先生が驚きながら駆け寄ってきた
「大丈夫か?怪我してないか?」
「はい、大丈夫です」
測定器よりも私の心配をしてくれた。良い先生でよかった。
「うーん、壊れてるな。予備はないから測定は明日にするか…」
やっぱり壊れてしまったようだ
「あの、弁償しないといけないですか?」
私は恐る恐る確認する
「心配しなくてもいいよ。機械だから壊れることもあるさ。それに古い機械だからもともとガタがきてたんだと思うよ」
よかった。来て早々、借金はしないでよさそうだ。
「はい、集合!……今日は予定を繰り上げて、私と模擬戦をすることにします。みんなの実力を測るための模擬戦なので、私は必要以上に手は出しません。思う存分、力を披露してください」
いきなりの模擬戦で緊張するけど、力を見るためって言ってるし、がっかりされないように頑張ろう。
「測定も途中だったし、順番も同じでエレナさんからやりますか。他のみんなも、自分ならどうするか考えながら見学するように。」
「「「はい」」」
私は先生と模擬戦をする。
先生は防護魔法も掛けているので魔法を撃っても大丈夫だと言っていた。
なので私は開始の合図と同時に水の槍を5本展開して攻撃することにする。
2本は逃げ道を塞ぐために先生の横を狙う
「アクアランス!」
「止めろ!」
先生が水の槍を見て止めるように言う。
しかし、魔法は既に発動してしまっており、私の制御からは離れていた。
結果、途中で止めることは出来ずに水の槍は先生に向かって射出されてしまった。
水の槍は狙った通り、2本は先生の両サイドを塞ぐ形に飛んでいき、残り3本が先生の体を貫通した。
「えっ?」
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