第5話 side エレナ

今日のエルクの様子がおかしい。

昨日まではいつでも私の後ろを付いてきたのに、なんか遠慮している気がする


エルクは自分のスキルを知りたいみたい

まだ子供だし、スキルなんて持ってないと思うのに不思議。


スキルを知るには教会で観てもらうのが普通だけど、こんな村には教会なんてないし無理だよね


たまに神父さんが村に来るからその時に借りれるのかな


エルクにそう伝えたら残念そうだった


この日から何かエルクが大人びて見える時があるけど、背伸びしたい年頃なのかな


そんな日を過ごしていたある日、エルクが何も言わずに外に出ようとしたので止める。まだ小さいのに危ないなぁ

どこに行こうとしたのか聞いたら神父様に水晶を借りに行くと言う。そういえば前にそんな事言ってたね


1人で出歩くのは危ないので私もついて行くことにする


エルクは何も考えていなさそうなので、お母さんに神父様がどこにいるか聞くことにする。

エルクに村長のところに神父様がいると伝える。やっぱり知らなかったようだ。


神父様の所には村人が並んでいた。みんな神父様に治療をしてもらいに並んでいる。

神父様はこうやって各地の村を治療の為に周ってくれている。私も昔に病気を治してもらった事があるらしい。

私も神父様みたいになりたいと、その時に思った記憶がある


私は列に並ぼうとしたが、エルクが順番を抜かして中に入ってしまった。

私は謝りながら後を追う


エルクが神父様に水晶を貸してもらえるようにお願いしているが、借りるには寄付をしないといけないみたい。

スキル見るためのお金なんてないよ


エルクもわかっているようで残念そうにしている

助けてあげたいけどお金はどうしようもない


そしたら神父様が今日一日お手伝いしたら貸してくれるって提案してくれた


エルクはすぐに食いついた

流石に心配なので私も手伝うことにする


村の人の怪我に神父様が薬を塗ってそこに包帯を巻いていた時、ふとエルクを見るとすごく綺麗に包帯を巻いていた。

私が巻いた後、「ありがとう」って言ってくれたし、自分ではキレイに巻けてると思ってたのに見比べると汚く見える


なんでお姉ちゃんの私よりもキレイに巻けるの?

聞いたら私は巻くのが早いらしい。

エルクの方が早く巻いてるけど……


聞いたら私が外にいる時に神父様と練習したらしい。

それならしょうがないかな


お手伝いも終わって神父様が水晶を貸してくれた。

私も使っていいみたい

スキルは無いと思いながらも期待して使ってみると水魔法と回復魔法のスキルを獲得していた


すごい。回復魔法って回復系の魔法の中でも上位って聞いた事あるよ


私はエルクの手前、冷静を装って畑の水やりが楽になるって言った。

実際にそれも助かるんだけどね


私は浮かれたまま神父様に水晶を返す

元々、エルクが使いたがっていた事を忘れていた


なんとエルクも加工ってスキルを獲得していた

私もだけど、珍しい


家に帰って両親にスキルを獲得してた事を話した。

2人とも喜んでくれる。

エルクもスキル獲得してたって言ったら、何故かエルクが嘘をついたって言った。

なんでか聞いたらなんでか神父様に知られたらまずい気がしたって。

よくわからないけど、虫の知らせってやつかな


本当は創造ってスキルらしい。

両親も知らない珍しいスキルみたい。エルクが誰にも言わないで欲しいって言うから私は黙ってると約束した。


翌日、私は畑の真ん中で倒れた。

神父様が少しずつ魔法を使うように言ってたのに、調子に乗って一気に使ってしまったからだ。

エルクも倒れたらしい。しかも私と違って気絶して1時間くらい目を覚まさなかった


エルクは気絶したにも関わらず、その後も何回も気絶を繰り返していた。心配だ。創造なんてスキル聞いた事ないし、色々試しているんだろうけど……


次の日、夕食にイモが出てきた。こんな時期になんであるんだろう。


聞いたら、エルクの魔法で作ったらしい。エルクも毎日お腹空かしているはずなのに半分私にくれるようだ。優しい弟をもって私は幸せだ。


イモを食べるとビックリするくらい美味しかった。

え、なにこれ?前に食べたイモはもっとパサパサしていて味もこんなにしなかったのに。

あっという間に食べ切ってしまった。


次の日に私が日課である畑の水やりをしていたらエルクがイモを持ってきて畑に埋めて欲しいと言ってきた。

あの美味しいイモだ。埋めちゃうのが勿体無いけど、育てて増やせば、後でいっぱい食べれる。お世話を頑張ろう


その時にエルクが気絶ばっかりしているから気をつけるように注意する


そしたら気絶するまで魔力使った方が伸びが良いって信じられない事を言った。どうやってかは知らないけど、エルクにはわかるらしい。


本当かどうかはわからないけど、それがほんとだったら、私よりもエルクの方が優秀になっちゃう。

嬉しいけども私にも姉のプライドがある。

辛いけど、その日から私も気絶するまで魔法を使い続けることにした。


それからしばらくすると、毎日のようにご飯をお腹いっぱい食べれるようになった。食材はエルクが魔法で用意してくれている。しかもめちゃくちゃ美味しい。

エルクがいれば畑いらないんじゃないのかな?


私の魔力も大分増えてきたみたいで畑に水をやるくらいでは無くならなくなった。

なので回復魔法も使うことにする。


回復魔法は水魔法とは比べ物にならないくらい魔力を持ってかれた。かなり増えたと思ってたのに一瞬で動けなくなった。そしてもう一度使ったら気絶した。


エルクはなんとか気絶せずに魔力を伸ばせないか試行しているらしい。


私も何か考えよう


さらに数日経った頃、エルクが水魔法を使えるようになった。

エルクに聞いたら、創造のスキルで創ったって言ってた。

よくわからないけど、なんかズルい


エルクは私がいなくてもなんでも出来る様になってしまう。危機感を覚えた私は、エルクに姉の威厳を見せる為にすごく考えて、気絶しない方法を先に実現させた。


回復魔法で魔力が回復するように、力を調整する事が出来る様に練習した。

魔力を使って魔力を回復させるって普通だったら意味がないけど、使っている間も魔力が伸びている気がする。多分……。

それに回復量の方が使用量より少ないので魔力は使い切れるし、その後にさらに使うと気絶するけど、その瞬間に魔力が動ける程度に回復するからすぐに動ける。

辛くもなくなった。

一度魔力を全回復させないと、魔力量はあまり伸びないってエルクが言ってたからそれだけが残念だ。


私はエルクに自慢する。

私はもう魔力を使いすぎても気絶しないと


エルクが信じられないものを見る目で私を見てきたので頬を引っ張ってやった。


数日後にエルクも気絶しなくなった。しかもエルクの場合は何をしても気絶しなくなったとか。

もう、考えないようにしよう


7歳になる前、王都から学校の入学案内が私宛に来た。拒否権はないらしい。


家族と離れたくないけど、どうにもならないようだ。


出発の前の日にエルクからカバンをもらった。

このカバンはエルクが魔法で創ったようで秘密にしないといけないカバンらしい。

なんでか聞いたら、理由はすぐにわかった。こんなに軽くて、少し大きいくらいのカバンなのに中にはあり得ないほどの食べ物が入っていた。しかも腐りにくいらしい。

これは、誰にも言えない。


エルクはお金を貯めて王都まで私に会いに来てくれるらしい。素直に嬉しい。

エルクならなにかキッカケさえあればすぐにお金を貯めれると思う。

楽しみに待つことにしよう

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