第4話 スキルの価値は

「ぼくの本当のスキルは創造なんだ」


「創造?聞いたことない」


僕も創造について詳しく知っているわけではない。でも神から強奪したスキルって考えればどんなスキルかはなんとなくわかる。

…なんでも作れるのではないか?


そうはいっても3歳児が知ってるのもおかしいか


「……ぼくもわからないけど、なんだか知られたらまずい気がしたから、とっさに神父さんには嘘ついちゃった」


「お父さんとお母さんは知ってる?」


「知らないわ」

「知らないな」


少なくても一般的なスキルではないらしい


「色々とためしてみる」


次の日、僕と姉は倒れた


姉は畑に水魔法で水を撒いてたら力が入らなくなり動けなくなった。


僕の方は創造スキルを使ったら目の前にボードが出てきた。

ボードを使って欲しいものを創れるようなので、姉と同じ水魔法を創ろうとした。

水魔法を創るには魔力が1000必要らしい。今の僕の魔力量はボードの上に表示されていた。

1/1……少なっ!

とりあえず魔力がなくなるまで込めてみる。表示が1/1000になった。

そして体が動かなくなる。

それでも無理矢理魔力を込めようとしたら意識が途切れた


僕は気絶していたようだ。

ボードを確認すると魔力量は0のままだった。徐々に回復している感じはする。

魔力量の0/1をタップしたら詳細が見れた。0.23/1.05。

最大が0.05増えたのか、元々1.05だったのかは不明だが、1日で魔力量が全回復するとしたらこの調子だと、水魔法を覚えるのに3年掛かるな…


あれ、水魔法の表示が2/1000になってる

こっちはタップしても表示は変わらなかった

魔力0でも増やせるのかな?


色々と検証しながらやってみるか


ゆっくりと休んだ後、魔力量の詳細を確認しながらやってみる

1.05/1.05

全回復してて最大値に変化は無しと…


水魔法に魔力を込める

0/1.06

最大値が0.01増えたな


さらに魔力を込める

意識が途切れた

気がついてから確認する

0.24/1.1

最大値が0.04も増えてる


魔力を使うと最大値が微増して、魔力がない時に無理矢理使うと最大値がぐんと上がるみたいだ。

毎回気絶しろってことかな……


水魔法の表示は4/1000になってた。端数は切り捨てかな?それとも見えないだけで貯まってるのかな

何回かやればわかるだろう


あーお腹すいた……ご飯まだかなぁ

…なんとなく水魔法創ろうとしてたけど、食べ物を創ればいいじゃん

今はスキルより飯だ!


食べたいものをいろいろと創ろうと試してたら、じゃがいもが良さそうだった。

お腹も膨れるし、必要魔力も10でそこまで多くない。それにじゃがいもは少し残せば種芋に出来る

完璧だ!


僕は気絶して休んでを繰り返してじゃがいもを創ることに成功する。

まあ、出来たのは次の日になってからだったけど…


手の上にはじゃがいもがある。

お腹減った……ポテチが食べたい


夕食で調理してもらって出してもらう。

油が無いから蒸してもらった。

姉と半分づつ食べる


「おいしい」

うん、懐かしい味がする。

贅沢を言うならバターが欲しい。あと塩


「なにこれ!おいしーい」

姉は感動している


あの大根もどきばっかり食べてれば、こうなるのは当然だ。


食べてから気づいた。種芋残してない……


次の日もじゃがいもを創る

なんと必要魔力が5になってた

2個目を創って、3つ目も必要魔力は5だった

他のものの必要魔力は変わってないし、スキルの熟練度とかじゃなくて、創ったことあるものは次から必要量が減るようだ。


僕はお腹を膨らませる為にじゃがいもを創る。

今度はちゃんと種芋を残すことを忘れない。種芋は姉に任せて畑に埋めてもらった


しかし、この時に僕は失敗することになる。

「エルク、気絶するまで魔力使ってるでしょ?心配するからやめた方がいいよ」

姉にこう言われたので僕は魔力量を上げる仕組みを教えてしまった。

「魔力を全部使って動けなくなってから、さらに魔力を使うと魔力の伸びがすごくいいんだよ。だからやめないよ」


「え、そうなの?」


「そうだよ。ぼくのスキルだと魔力の最大量がわかるんだ。試してみたら普通に魔力使い切るよりも5倍くらい最大量が増えるよ」


「そっか、じゃあ私もやってみる」


そう言って姉も気絶するまで魔法を使い続けることになった。


そして、こんな生活を続けること2年、僕の生活が大きく変化する。


姉が王都の学校に行くことになった。

普通はこんな小さい村の平民が通うことは出来ない。

でも、あの時の神父が誰かに話したのだろう。

姉が2つもスキルを獲得している事を。


王都から入学の案内が届き、高待遇にて入学してほしいとの事だった。

姉は行く事を拒んだが、これは、実際は誘いではなく強制である。平民が王都からの誘いを断ることは死を意味する可能性もある。今回は差出人が不明なのだ。


姉が王都に行くのは明日である。


僕は出来るだけ豪華な食事にする為に、創造で食材を創る。そして、姉の為に魔力を何日も溜めて創ったアイテムバッグをプレゼントした。

アイテムバッグは通常のバックより10倍物が入り、重さも1/10になる。しかも保存機能付きで中のものが腐りにくい。

僕が創造したアイテムボックスというスキルの劣化版になるが、出発に間に合わせる為にはこれ以上は無理だった


中には姉が好きな食べ物を詰めておいた


「エルク、ありがとう」

姉は泣きながら受け取る。


「お姉ちゃん、僕も大きくなったら王都に行くから。待ってて」

姉がこの村に戻ってくることは難しい。なら僕が王都に行こう。


この2年で前世の記憶はあるもののエルクとしての感情が強くなった気がする。


なんとかお金を貯めて王都に行こう。そしてまた姉と会うんだ


そう思ってたけど、翌年に僕もひょんな事から学校に入ることになった。

嬉しいんだけど、思ってたより早い再会になりそうだ

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