自己変革
この取り組む姿勢をラノベと文学の地平で評価せよ。
「今までの暗い自分を変えて、明るい自分になるために、クラスで最も背が低いけどバスケットボールをしています」
A:ラノベ「良い心構えだ。君を主人公にしてやろう」
文学「暗さを克服するための道具にバスケを使うな」
ライトノベルなどの青少年エンタメで何より美化されるのは、「殻にこもった暗い自分をやめて、明るい自分に生まれ変わる」ことである。若者を使い捨ての労働力にしたいバイト先も、こうした物語を選好する。
ラノベ資本にとって大事なのは、そう思った者が本当に上手くいくかどうかではない。暗い自分を自己否定してでも、明るきに変えるエネルギーとお金が欲しいだけだ。
問題文の場合、こんな動機でバスケを選んだ少年は、現実社会ではまず大成しないだろう。中学部活でも、人数ぎりぎりでない限り選手になれず、顧問から退部か転部を勧められるだろう。それはそうだ、バスケが上手くなるためでなく、明るい自分を演出するための道具にバスケが使われているだけなのだから。
明るくなったこのバスケ部員に中身はない。
なお、スポーツの場合、運動系の文化に育った者は、初めて取り組む競技でもたいして己を変えていない。つまり、「みんな、これまでの自分を変えたくて競技に取り組んでいるんだ」という部活ものの定番文句は虚偽である。
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