批判を受け取る

Q:とあるクリエーターが、「素人がネット上で批判ばかりしやがって」と発言した。そして、物書き志望の青年の文章をみて笑い飛ばした。このクリエーターをラノベと文学の地平から評価してみよう。
















A:ラノベ「そうだ、そうだ。口を動かすよりも手を動かせ」

文学「このクリエーターは、プロデビューする前の初心を忘れて奢っているな」


 どんな分野でも、プロのアーティストは最初からプロだったのでない。作家の場合、こんなもの自分でも書けると思って先行作を批判するところから作家への道は始まる。21世紀には、ネットで人気作を非難するのが創作精神の始まりとなった。

 そう考えると、人気作を出したアーティストが「ネットで悪口を言うな」と叱るのは、そうした原点を忘れている姿を公然と晒していることになる。「初心を忘れるな」と作中の師匠役が弟子役に叱っていても、自分自身は初心を忘れて驕り昂ぶっているわけだ。


 明るく前向きな自分への批判を「ネット上の悪口」と一喝して、「批判ばかりするな」と怒鳴る者。それでも、表面上は営業スマイル豊かで、いつも礼儀正しい。彼らに耳心地のよいストーリーしか許さないライトノベルなら、彼らは通用するだろう。文学者なら、さっそくこの者を「人の言うことを何一つ聞かない不寛容な奴」に仕立てよう。




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