軽いエンタメ

Q:ライトノベルは、どのような意味でライトなエンタメなのですか?簡単な小説と呼ぶには、難しい言葉が結構出てきて読みづらく、人の死も描かれます。













A:明るい(ライトな)性格の人間が、今の自分を変えずに楽しめるよう最適化されているから、ライトなエンタメなのだろう。




 娯楽の最低条件とは、今の自分を変えずに楽しめることである。今の自分を変えるのは痛みを伴うプロセスであり、それゆえ娯楽にはなりえない。

 開始時点で主人公が暗くても、何かに打ち込むことを通して最後に明るくなる典型的にライトな話を娯楽として楽しめるのは、主人公の分身みたいな暗い人間ではない。しかし、主人公に向かって明るく振る舞う美徳を説く陽気な人間は、物語を通して自分を変えなくてよいのだから、物語をエンタメとして楽しめる。

 明るくなった主人公が作中でそんな陽気な人間よりも大きな成果を出したとしても、明るい読者に関係はない。人が死んでも、陽気な人間とは無関係に起きるのだから、心は痛まない。陽気になるという正義は何一つ揺らいでおらず、その成果は全て現実にはあり得ぬ絵空事なのだから。

 主人公が最初から明るい性格でも、最初は暗くて後から明るくなっても、明るい原理は常に暗さに優勢なのは変わらない。


 主要登場人物のうち、最初と最後で誰よりも自分を変えていない者のような人間が、誰よりも作中の物語をエンタメに出来るのだ。


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