綺麗な壁とキッチン (短文詩作)

春嵐

綺麗な壁とキッチン

 綺麗な壁、そして台所。まるで新品みたいな綺麗さ。

 彼が、いつもお掃除していたのを思い出す。いつも綺麗にしてた。わたしは、それを見ているだけ。彼の作ったお菓子とかスイーツを食べながら。

 彼がいない。

 わたしは、わたし自身でお菓子とかスイーツを作り出さないといけない。

 だめだった。

 綺麗な壁とキッチン。

 15分ぐらいで、圧倒的に。きたなくなった。だめだこれ。わたし。何やってもだめだ。


「こんなだから」


 彼がいなくなる。わたしひとり。

 綺麗じゃない壁。ぐちゃぐちゃのキッチン。

 わたしみたいだと、なんとなく思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る