正体不明の飛空艇を発見し、好奇心からその中を探検する、ふたりの子供の物語。
少年の冒険譚のような導入ではありますが、どちらかというとファンタジー世界を舞台にしたショートショート、といった趣の作品です。
単純に分量がコンパクト(約3,000文字)というのもあるのですけれど、内容や物語の構造そのものにも、若干ホラー作品のようなテイストがあるのが特徴的。足を踏み入れてはいけない場所に、迂闊に立ち入ってしまったふたりを待ち受ける、何か報いのようなもの……といっては大袈裟かもしれませんが、でもとりあえず大変な目に遭うお話です。
もうキャッチコピーから惹きつけられたというか、発想の起点が「空飛ぶ地下」というのが楽しいです。いったいどういう意味なのかと、つい先を気にさせられてしまう。シンプルながらもじわじわ迫るような不穏さの楽しいお話でした。