第五章 憧れの高校生活……だったはず……だよね?

 やっとこさ、受験を終えて高校生活を保証され安堵しているのもつかの間。高校生になれば中学生ではできなかったことが出来るし、行動範囲が広がってワクワクしますよね。私は、高校でバレー部にに入ってセッターをやりたいな…… とか、バイトもやってみたい。でも、勉強もおろそかにしたくない。未来の選択肢の為に成績は必須! と意気込んでいたのです。要は部活に、バイトに、勉強に文化祭!夢の高校生活を送るぞ! と妄想に走りました。だがしかし、ここで私が見誤っていたことそれは基礎体力が皆無。少し外出しただけでお昼寝モードになってしまう私にとってアクティブな高校生活は眠気との戦いの始まりです。

 高校入学前の春休み、母に頼んで高校に連絡をしてバレー部の練習に参加させて欲しいとお願いをして、一人、部活に参加していました。入学後も皆が見学に来ている中、私は練習に参加。バレー部に入部希望者は次の日からすぐに練習に参加し始めました。といっても、中学の時に試合で何度も顔を見合わせたメンバーだったので、すぐに打ち解けられるのですが、私の人見知りが発揮され、口下手だったので、会話がなりたたないので、聞き役に徹してました。

 でも、自分の行動で変わりたいと思って、春休みから練習していたのは良かったと思います。部活の価値観の違いから私はあれこれと考えるようになり、部活に集中できなくなります。

 ここで、皆さんは運動部に入ってどんなことを目標にしますか? あるいはしていましたか? w

私は、勝ちにこだわりたかった。スポーツは皆で汗を流して楽しみ、健康な体作りが基本だと思っています。しかし、試合がある以上は少数精鋭で勝ちにこだわる戦略で戦いたかった。

私の急なポジション変更と伸び悩み、そして、周りとの温度差がばらつき始め。それに拍車をかけたのは学校での夏の合宿でした。

 セッターをやりたかったのにアタッカーになり、セッター一筋、司令塔とうして高校でやる夢が打ち砕かれました。アタッカーに憧れていたわけじゃないけど、私にはセンスがなかった。中学で失敗してきたこととかを高校で払拭したかった。

 夏合宿に千本トスという、俗に言う合宿名物がある。先輩とペアを組み、ネットを通して千本パスをするというもの。落とすたびに、5回の腕立て伏せをやらされる。私と先輩は1時間30分くらいで終わった。楽しそうという理由で入った初心者の子は4時間かかってもできなかった。しかも、これは合宿最後の夜に行われるため疲労もピークだった。

 その子がダウンしてできなかったことは仕方がないが不安はあった。

 この頃の私は持久力がかなりあがっており、今までにないスピードで持久走出来ていた。瞬発力はもともとあったが、さらに磨きがかかり、体力テストで男子の平均を優に超えていた。ボール投げと持久走は男子並みとはいかないが……。

 いろいろと出来るようになってくると楽しくなってくるが、合宿の後に考えるようになる。私はこのまま部活をやっていていいのだろうか。

 部活をやっていると、お腹がすくし、お金がかかる。月5000円のお小遣いは正直いって足りなかった。そして、部活の朝練の疲れで、一度だけ授業中に寝てしまった。英語の時間でまったくわからなかった。

勉強も、部活も充実しているのだろうか? 成績が下がる恐怖が私を襲った。成績を持っていなければ進学への道の幅が狭まる。中学の時に行きたい高校が選べなっかた悔しさから、文武両道の道を歩めず悩み始め、部活に集中できなくなる。こんな時思ってしまった―― お父さんが生きていれば……。

そして、先輩に集中できてないことを注意され、バイトを始める決心をする。

バイトを始めると、仕事の大変さを知り、部活との両立は無理だと感じ、部活を辞めることを決意した。顧問の先生からも辞めないでほしいと部活を引っ張て欲しいと頼まれたが、怪我や生活の事を理由に辞めた。この時、初めて悔し涙を流した気がする。

 顧問の先生はあまりバレーの戦略には詳しくないという不満もあったし、お金を稼いで好きなことに使おうと、お金の不自由さから脱出できた。私は青春よりもお金を選んだ。だからといって、部活に明け暮れる青春が終わっただけで、青春はまだまだ続く。私はここから、オタクへと変貌していく。

 私には夢が一つあった。私を支えてくれた人と同じ道を歩きたいと、そしてその為に、いろいろと研究を始める。この時の決意がこの先ずるずると引っ張るとは未来の自分は知る由もない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る