猟奇ちゃんの捌いて刻んでジャンケンポン!
晴川 滝
〜飛び出せじんぞうの巻〜
まぁあれだよ、ここはそのよくある公園…
のはずなんだと思うんだよ。
少なくとも僕はそう思ってここに来たんだ
家から徒歩ですぐの公園
夕方になると子供で賑わう普通の公園だ
じゃんけんぽん!!
子供の輪の中から元気な声が聞こえた
どうやら少女がジャンケンをしているようだ
?????
なにか様子が少しおかしい
元気よくニコニコしながらジャンケンをする少女とは裏腹に相手の子は顔面蒼白といった感じなのだ
僕はもう少し輪に近づいた
ジャンケンポン!
「あーあまた負けちゃったよ これで45連続負けだあ」
少女がニコニコしながらそう言った
え?負けすぎだろ
相手をしていた男の子はため息をつきながら少女の前から距離を置いた
「さぁなんでもしていいよ」
少女は大の字で地面に寝転がった
いや、いいよ僕、猟奇ちゃんが怖いよ
男の子は少女を見ずにそう答えとぼとぼと公園の端へ向かっていった
猟奇ちゃん??この少女はそう呼ばれているのか
僕はそんなことを思いながら、おしりの土を払いながら立ち上がった彼女を見た
すると彼女もこちらの視線に気づいたのかこちらを見た
「ね!キミ!私とジャンケンしよ!」
え??僕?…いいけど?
僕がそう言うと周りのみんなが鋭い目つきで僕を見た
まぁ大丈夫か、今日負け続けてるから大丈夫だよね
周りからそんな声が聞こえた
ん?ジャンケンだろ?僕はそう思った
猟奇ちゃんと呼ばれてる彼女は僕の前に立つと
「ジャンケンポン!」かけ声と同時に手を前に出した
反射的に僕も出す
猟奇ちゃんの出した手はチョキ
僕はパーだ
負けた…
と思った瞬間みんなが一斉に騒ぎながら公園の外に向かった
え???
動揺する僕と自分のチョキの手を見つめる猟奇ちゃんだけが公園内に残された
「わーい!連敗ストップだー、やっと勝ったー!」
嬉しそうに飛び跳ねる猟奇ちゃんを僕はただ呆然と見ていた
「はい、じゃあそこのベンチに寝転がって!」
僕は言われるがまま、ベンチに仰向けに寝転がった
猟奇ちゃんは僕が寝転がったのを確認すると僕の腹部に手をかざした
「んんんーーーーーー!!!ポンポンジャンケンポン!」
そう言いながらかざした手を頭まで持ってきた
僕はただその奇怪な行動を見ていた
鼻がムズムズする
へっくしょぉぉん!!
ん?何だか違和感が…
体が動かない、何故だ
動かし方が分からない
目だけがキョロキョロと動いていた
「えへへ久々だなー今日は何出そっかなー」
猟奇ちゃんは両手をチョキの形にしてニヤニヤしながら僕の腹部を勢いよく突いた
痛い!!
頭が真っ白になるような痛みが全身を走る
目を開けるとなにか赤黒いものが自分の腹部から飛び出すのがスローに見えた
スローから通常のスピードに戻り落ちてきたそれを猟奇ちゃんは受け取った
「今日は、じんぞうでした!!」
そう言いながら高々と持ち上げると公園の外に居た子供たちは喚き散らしながら走り去っていった
息が激しくなり、声が出ない
ひゅーひゅーと荒い息だけが聞こえる
虚ろな目で僕は猟奇ちゃんを見つめた
「キミの負け!私の勝ち!えへへ
私とじゃんけんはこういう事だよ!」
僕の頭の近くに置いてあったリュックにじんぞうを詰め、猟奇ちゃんは遠ざかっていく
僕の意識はその後すぐに無くなった
それは現在は神社のあの場所がかつて公園だった時のお話
猟奇ちゃんの捌いて刻んでジャンケンポン! 晴川 滝 @danderion39teppei
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