第2話コードネームR:side 激昂
「俺は間違ったことなんてしていない。」
「こんな世界、ない方がいいだろ?」
「俺は過去の苦しみを解き放しただけだ。」
「それの何が悪いんだ?」
「どうせ存在し続けても意味はない。」
時代は1###年。目の前で今、生まれ故郷が崩壊している。それを見て、俺はざまぁねぇなと心の中で呟いた。ツンっと叩けばすぐに崩れるジェンガみたいに、ビルが火の粉を散らして壊れている。その無残なザマを見ていると自然と心がスッキリしてきた。
俺のことを見捨てたようなこの街が大嫌いだった。行けるならどこまででも遠くへ行きたかった。でも、行けなかった。この街がこの退屈な日常に俺を縛りつけた。生まれ故郷のしがらみがこんなにも強いなんて思っても見なかった。暇だ、ひまだヒマだ…いくら言っても言い足りないくらいの怠惰が俺を毎日襲う。どうでも良いことを延々と話している議会、小さな事で始まる戦争、肌の色で分かれる態度、好きな人と一緒になれない制度…etc。
「こんなクソみたいな日々なんて、ゴミ箱にダンクシュート決めてやるよ。」
自分の行動を全て正当化して、退屈な日々にサヨナラした。俺は悪くない。世界がおかしいんだ。着火点は俺、着火剤は俺の鬱憤。でも俺は今までの犠牲の制裁を下しただけだ。ただそれだけ。
怒りを世界に知らしめて、俺は自由を手にした。もう何も怖くない。もう何にも囚われていない。崩れる故郷を目に焼き付けて、俺は新たな街への列車を待った。
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