第89話 太公望 ☆
――チャポンッ
竿を振り、釣糸を湖に投げ入れること30回。
未だに俺とデュパに当たりは来ない。
「グルルッ。つまらんな。もう潜って魚を突いてきた方が早い」
「それじゃ釣りにならないだろ」
うーん、それにしても全く釣れない。
この湖ってわりと魚は多いはずだ。
むしろ浅瀬では俺達を馬鹿にするように大きなイワナが泳いでるし。
ほら、お魚ちゃん。こっちにこないで餌の方に行ってくれ。
なんて通じるわけもないお願いをしても反応がなく、魚はパシャッと跳ねると底に消えていった。
「グルルッ。もう帰っていいか?」
「そう言うなって。気分を変えたらきっと釣れるさ」
そろそろ前半戦が終了だ。
待ち合わせ場所の岩場に向かうとリディア達が楽しそうに話していた。
「うわー、シャニが釣った魚、すごく大きいね!」
「リディア姉の魚の方が重量はあるでしょう。アーニャ姉の魚も見事です」
「ふふ、リリはたくさん釣ったんですね。今日はお魚パーティーが出来そうです」
「えへへ、アーニャ姉にもあげるからね。あれ? ライトー!」
リリが俺達に気付いて手を振ってきた。
どうやらみんな釣れているみたいだ。
俺は一匹も釣っていないというのに。
ちょっと悔しがりつつ、彼女達のバケツを覗いて釣果を確認する。
リディア:5匹。一番大きい魚は50㎝程。
アーニャ:8匹。一番大きい魚は30㎝程。
シャニ:3匹。一番大きい魚は60㎝程。
リリ:12匹。全て20㎝前後。
うぉ……。めっちゃ釣れてるじゃん。
これは不味いぞ。このままでは彼氏としての面子が。
「よ、よし。一旦休憩しようか。午後の釣りは一時間後な」
「ライトは釣れたの?」
とリリは俺のバケツを覗いてくる。
そしてなんとも言えない表情をした。
「うん、また頑張ってね……」
「あぁ……」
リディア達も俺に気を遣ってか、釣果については触れないでくれた。
「それじゃごはんにしましょうか」
「ならお茶を沸かすね!」
アーニャがお弁当を作ってくれたんだよな。
今日のお弁当はサンドイッチだ。
しかもカツサンドじゃないか!
最近オリーブに良く似た植物を発見したんだ。
地球のものより実が大きく、より多くの油がとれる。
まだ栽培が始まったばかりなのでそこまでストックは出来ていないけどね。
しかし気軽にとはいかないが、揚げ物が食べられるようになったのは嬉しい。
しかもソースもしっかりと再現されている。
これは日本で味わうカツサンドより美味いだろうな。
「うふふ、美味しいですね」
「リリ、ソースがついてますよ」
「むぐー。アーニャ姉、ありがと」
「ライト殿、お代わりはいかがですか?」
みんな楽しく食事をしている。
平和だな。月に一度しかないが、異形の襲撃を恐れることなく眠れる。
こんな日が毎日続けばいいんだけど。
いや、続けなくちゃいけないんだ。
俺についてきてくれるリディア達のため、言葉も分からないのに一緒に戦ってくれる村民のためにも。
ふふ、会社では社畜として適当に業務をやってきた俺がこんなに一生懸命になるなんて。
40年の人生の中で今が一番イキイキしてるんだろうな。
「ん? ライトさん、どうしたんですか?」
「いやね、みんなを幸せにしなくちゃなって思っただけ」
「ふふ、私は充分幸せですよ。ライト様のお側にいられるんですから」
「アーニャ姉、ずるいです」
「私もー」
アーニャを始め、みんながキスをしてくる。
最後にリリがキスしたところで急に真面目な顔になった。
「ライト……いえ、ここはやはりライト様と言わせて頂きます。その気持ちはとても嬉しいです。ですが私達のためより、この大陸にいるであろう全ての民のためにそのお力をお貸しください」
「分かってる。俺が世界を救うってのは想像もつかないことだけどさ。でもやれるのは俺しかいないんだろ? だったらやるさ。でもな、やっぱりそれはついでだ。まずは身近な人、リリ達を守る。そのついでに世界を救うだけさ」
南の大陸は異形だけではなく、北の大陸にいる人間の国アーネンエルベからも狙われているらしい。
今のところその兆候はないが、異形が南からいなくなったらいつ攻め込まれてもおかしくないのだ。
その前に人を集めてアーネンエルベとやらに備えるさ。
相手が異形だろうと人間だろうとやることは変わらないからな。
「……というわけさ。だから何も心配はいらない。それとさ、リリにそんな話し方は似合わないぞ。いつも通り話してくれ」
「え? ふふ、分かったよ。私ってこんなすごい人の恋人になれたんだね」
ちょっと湿っぽくなってしまったな。
さてと、気分も変わったことだし、釣りの続きを楽しもうか。
竿を振りながら恋人達を見つめる。
太公望は天下を釣るために老齢まで釣りを続けていたという逸話があったな。
どうやら俺は天下じゃないが、こんな素敵な恋人達が釣れたみたいだ。
結局俺は坊主のまま終わり、優勝はリリとシャニのチームとなった。
ぐぬぬ、ちょっと悔しいぞ。
「やったー! 優勝だー! うふふ、賞品はライトを一日好きにしていい権利だったよね」
「リリ、チーム戦ではありますが、賞品は辞退します。ライト殿とはまだなのでしょ?」
シャニが気を遣ってくれたようだ。
俺達はバケツを持って村に戻る。
新鮮な魚料理を食べ、いつも通り楽しい夕食の時間を過ごす。
「うふふ。リリ、今夜はいっぱい可愛がってもらうのよ」
「うん、みんなありがと」
リディア達は早々に自室に戻る。
今夜、俺とリリは初めて一つになる。
なんか緊張しちゃうな。
リビングに俺達二人が残される。
リリは頬を赤く染めて俺に近寄ってきた。
「あ、あのね。する前にお風呂に入らない?」
「いいよ」
まずは二人で風呂に入る。
以前は子供だと思って欲情なんかしなかったが、今は彼女が大人であると知っている。
なので彼女を抱き寄せてから……。
「ライトォ……」
火が着いたのかリリは俺に正面から抱きついてくる。
「ここでするか?」
――コクッ
恥ずかしそうに頷く。
こうしてリリと初めて合体するわけだが。
俺はここで初めて合法ロリの良さを思い知ることになる。
実年齢は俺とそう変わらないのに、まるで少女のような体……。
何この背徳感!? く、癖になりそうだ!
でもリリは初めてだったようなので無理はさせられない。
痛くないように感度調整を施しておいた。
なんか予想以上に気分が盛り上がってしまったので、そのままリリを抱っこして寝室へと向かった。
◇◆◇
「うぅ、酷いよ。止めてって言ったのに……」
「ごめんな、リリが可愛かったからさ」
リリは恥ずかしくて俺の顔が見られないのだろう。
俺の胸に顔を埋めている。いやいや、リリだって止めてとは言っていたが、本当に止めるともっともっとってせがんだじゃん。
いやー、合法であればロリって素晴らしいな。
「もう! 許さないんだからね! 責任とってもらうんだから!」
「ははは、いいよ。ところでどうやって責任を取ればいいんだ?」
ちょっとからかうように言ってみた。
リリはむくれながら……。
「ずっとそばにいて……」
「はいよ」
――ピコーンッ
【配偶者満足度が上限に達しました。成長ボーナスとして遭難者誘導・改がアンロックされます】
なんか満足してもらえたみたいだ。
◇◆◇
☆次の
☆現在のステータス
名前:前川 来人
年齢:40
種族:ヒューマン
力:200(+50) 魔力:0
能力:壁レベル4(鉄)
派生効果①:敷地成長促進・改
派生効果②:遭難者誘導・改
派生効果③:感度調整
派生効果④:A/P切り替え
派生効果⑤:モース硬度選択
派生効果⑥:XY軸移動
配偶者:リディア、アーニャ、シャニ、リリ
名前:リディア
年齢:???
種族:エルフ
力:150(+50) 魔力:200(+50)
能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)
配偶者満足度:0/1000000
名前:アーニャ
年齢:???
種族:ラミア
力:180(+50) 魔力:0
能力:薬の知識
配偶者満足度:0/1000000
名前:シャニ
年齢:???
種族:コボルト(亜種)
力:130(+30) 魔力:80(+30)
能力:隠密
配偶者満足度:0/100000
名前:リリ
年齢:???
種族:エルダードワーフ
力:60(+50) 魔力:130(+50)
能力:発明
配偶者満足度:0/100000
☆総配偶者満足度:/1000000
リディア:0/1000000
アーニャ:0/1000000
シャニ:0/1000000
リリ:0/1000000
☆総村民満足:152990/1000000
・総村民数:240人
☆現在のラベレ村
・鉄壁
・敷地面積:60000㎡
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!
お気に召しましたらご評価頂けると喜びます!
更新速度が上がるかも!? ☆☆☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます