第87話 リリの告白
新しい家を建てたその夜。
俺達は異形を追い払った後、全員でリビングに集まる。
その雰囲気は重い。まるでお通夜のようだ。
その原因はリリにある。彼女の見た目は少女のようではあるが、実は俺と大して歳が変わらない大人であったと。
リディアとアーニャは
「ライト殿、私も同罪です。黙っていてごめんなさい」
シャニは謝ってくるが尻尾と耳は普段通りだ。
特にしょんぼりしているわけではない。
つまりシャニも必要だったから黙っていたというわけだ。
「気にしてないよ。でさ、リリはどうやら俺を信用してくれたみたいだね」
「はい。ライト様は人族ですが信用に足る人物です。異形から国民を守るために協力は惜しみません」
とリリは言うが、この世界の人間ってそんなに酷い奴らだったのか?
「それについては私が」
シャニは語り出す。
魔王セタが治める王都は二つの危険に晒されていた。
一つは南の森から現れる謎の化物、異形。
そして二つ目は北の大陸にある人間の国アーネンエルベだ。
なんかドイツ語みたいな国名だな。
なんでも人間の国が王都に戦争を仕掛けるという情報を受けたそうだ。
南は化物、北からは人間が攻めてくる。
つまり挟み撃ちにされる危険があったわけだ。
だがアーネンエルベっていう国はかなり遠いらしく、ある程度時間の余裕はあった。
なので魔王セタは北の侵攻が始まる前に王都が抱える最強の部隊を使って異形を殲滅しようと計画を立てた。
だがシャニ達は敗れ、そして異形の勢いも増してきている。
結局王都の壁は破られ今のような状況に至るということか。
でも南の大陸……王都があった付近に人が住んでいた痕跡なんて無かったぞ。
「異形でしょう。皮肉なことですが異形が人族の侵攻を防いでいるのです。おそらく王都が滅んでから1000年近く経っているはずです。しかしその間も異形がこの地を人族から守ってきたのでしょう」
なるほど。加えてシャニの部隊もアーネンエルベにスパイを派遣してきた。
軍部は南に攻める際に異形対策の準備もしており、そう簡単に戦争を仕掛けられなかったそうだ。
それで南の大陸に住む者は異形に襲われ自我を失うか、命を奪われる。
北の人間も異形が跋扈する南に侵攻出来ずに今に至るというわけか。
でも異形ってのは確かにヤバい化物だけど、それなりに戦えてるぞ。
何度かピンチはあったけど、最近じゃ大した脅威にはなってないし。
「それはライト様の力のおかげです。この村の戦闘力は異常です。おそらくラベレ村だけで王都以上の軍事力があるはずですから」
「えぇ……」
戦争の情報は極秘事項であり、リディア達は知らなかったそうだ。
確かに無駄に国民の不安を煽るだけだからな。
それにしても俺達ってそんなに強くなったのか。
もちろん強くなった自覚はある。
自分と同じくらいの大岩なら片手で持ち上げられるんだから、さすがに気付くぞ。
俺だけじゃなくて、村が大きくなる度に村民は強くなっていく。
それで今では200人程度の小さな村が国と同じ軍事力を持つようになったと。
壁しか作れないと思っていたが、俺の力ってリアルチートだったのかもしれんな。
――バッ
突然リリが頭を下げる。
シャニも同じように頭を下げた。
「ライト様、お願いです。共に異形を倒して下さい。王都……そして民を救って欲しいのです。斥候が命がけで得た情報があります。この森の奥深く。さらに南に進んだ場所に異形の巣があるそうです。そこを潰せば異形の数を減らすことが出来るかもしれません」
「しれませんってことはまだ分からないってことだよな」
今度は俺がリリに聞いてみる。
巣か。多分そこで数を増やしているんだろうな。
この世界に転移して多くの異形を倒してきた。
だがその数が減ることはない。生き物とは違う方法で数を増やしているのだろう。
それに巣を潰すってどうすればいいんだ?
「まだ未完成ですが、新しい兵器があります。それがあれば山を一つ消し去ることが出来るはず。異形を巣ごと消し飛ばします」
その兵器の製法はリリが知っていると。
なるほど、それだけの兵器を作れるんだ。
力を託す者をしっかりと選定する必要があったんだな。
――スッ
俺はリリに手を差し出す。
「ライト様?」
「リリの覚悟は理解したよ。王都を救うってのは予想外だった。でもこの森で苦しんでいる人達を助けたいのは俺もリリと同じだ。だからこれからは仲間だ。ただの同居人としてではなく仲間として俺達と戦ってくれ」
「は、はい!」
リリは小さな手ではあるが力強く俺の手を握ってくれた。
「それとなんだが……。やっぱりその話し方はリリらしくないな。今まで通り頼むよ」
「で、ですが、もうライト様の名を呼び捨てにするなど……」
「ははは、構わないさ。そうしないともう一緒に風呂には入らないぞ」
「えっ!? そ、それならば……。ラ、ライト、これからもよろしくね!」
リリは笑顔で俺の名を呼んでくれた。
ははは、それでいいんだよ。
それとリリにもう一つ言わなくてはいけないことがある。
彼女はまずリディアとアーニャの前で頭を下げる。
「リディア
「ふふ、許すも何もないわよ。秘密なんて誰にもあることじゃない」
「そうですよ。むしろ正直に言ってくれてありがとね。私達だって可愛い妹が出来たと思って楽しかったのよ。だからこれからもよろしくね。リリ」
――ギュッ
三人は姉妹のように抱き合った。
ふふ、リディア達は本当に俺にはもったいないくらいの恋人だよ。
そして今度はシャニの前に。
「隊長、数々のご無礼お許しください。ですが隊長の新しい一面を知れて嬉しかったです」
「私はもうあなたの隊長ではありません。ここにいるのはただのシャニです。もう立場はあなたと同じ。これからは家族です」
「隊長……」
「シャニ姉と呼びなさい」
シャニはリリを抱きしめた。
これでもう大丈夫だな。
「あ、あのね、まだ言ってないことがあるの」
おや? いつものリリの喋り方に戻ったぞ。
そうか、あれを言うつもりだな。
でもやはりシャニが怖いのか、ちょっと声が震えている。
「じ、実は私もライトのことが好きになっちゃったの! 私も仲間に入れて!」
おー、とうとう言ってしまったか。
リディア達はなんて言うかな……。
「いいわよ」
「問題ありません」
「どうせこうなると思いました」
ん? いいの?
さすがに四人目の恋人なんてリディア達は許さないって思ったけど。
「ふふ、そんな顔をしないでください。リリのライトさんを見つめる目を見れば分かりますよ」
「恋する女の子の目でしたからね」
「でもリリは新入りです。常に私達の言うことを聞くように心がけなさい」
「は、はいぃ」
こらシャニ、もう家族だって言ったじゃん。
鬼の隊長の目になってるぞ。
こうしてリリは晴れて俺の恋人となった。
まさかこんなロリーな恋人が出来ることになるとは。
エルフには似つかわしくない大きな胸のリディア。
下半身は蛇の妖艶な美女でありながら性格はとても可愛いラミアのアーニャ。
無表情だが尻尾で感情が丸分かりのフタ◯リ美女の獣人のシャニ。
そして合法ロリのリリときたもんだ。
こんな属性もりもりの美女に囲まれるなんてな。
命の危険はあるものの、本当にこの世界に来て良かったよ。
「シャニ姉酷いよ! ライトの愛は平等なの!」
「まずはライト殿に抱かれてから物を言いなさい」
「ふ、ふーんだ! まだエッチはしてないけど、私はライトにプロポーズしたもんね! だから第一婦人は私なの!」
――シンッ……
リリの言葉を聞いて場の空気が凍った。
「まだ私だってそんなこと言われたことないのに……」
「うぅ、ライト様はもう私には飽きてしまったのですね……」
「リリ、膝をついて首を出しなさい」
「ひぃっ!?」
リディアとアーニャは泣き、シャニは殺意丸出しだ。
リリはおしっこを漏らして怖がっている。
カオスだなぁ。
リリが腰を抜かしてしまったので初夜は後日に持ち越すことになった。
◇◆◇
☆次の
☆現在のステータス
名前:前川 来人
年齢:40
種族:ヒューマン
力:150(+30) 魔力:0
能力:壁レベル4(鉄)
派生効果①:敷地成長促進・改
派生効果②:遭難者誘導
派生効果③:感度調整
派生効果④:A/P切り替え
派生効果⑤:モース硬度選択
派生効果⑥:XY軸移動
配偶者:リディア、アーニャ、シャニ、リリ
名前:リディア
年齢:???
種族:エルフ
力:100(+30) 魔力:150(+40)
能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)
配偶者満足度:0/1000000
名前:アーニャ
年齢:???
種族:ラミア
力:130(+30) 魔力:0
能力:薬の知識
配偶者満足度:0/1000000
名前:シャニ
年齢:???
種族:コボルト(亜種)
力:100(+20) 魔力:50(+25)
能力:隠密
配偶者満足度:0/100000
名前:リリ
年齢:???
種族:エルダードワーフ
力:10 魔力:80
能力:発明
配偶者満足度:0/100000
☆総配偶者満足度:0/1000000
リディア:0/1000000
アーニャ:0/1000000
シャニ:0/1000000
リリ:0/1000000
※リディア達はリリが来人から求婚されたという事実を知り、ショックのあまり配偶者満足度がリセットされました。
☆総村民満足:108524/1000000
・総村民数:235人
☆現在のラベレ村
・鉄壁
・敷地面積:60000㎡
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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