第36話 システム変更と今後の計画

 アーニャと恋人同士となり、昨夜初めて彼女と一つになった。

 彼女が可愛かったのでつい頑張り過ぎてしまい、アーニャは意識を失うように眠ってしまった。

 

 そしてアーニャを介抱している時にいつものあの音が聞こえてきた……のだが、内容は全く違うものだった。

 たしかシステム変更がどうたらって言ってたよな?

 とりあえず確かめてみよう。

 まずは自分のステータスを見てみる。



名前:前川 来人

年齢:40

種族:ヒューマン

力:50(+25) 魔力:0 

能力:壁レベル2(竹)

派生効果①:敷地成長促進

派生効果②:遭難者誘導

配偶者:リディア、アーニャ



 なんか見たことが無い項目が増えてる!? 

 配偶者という項目にリディアとアーニャの名前が。

 あれー? 一応さ、二人は恋人だがまだ結婚したわけでは……。


 ――ピコーンッ


【ネガティブ。ネガティブ。ステータス項目名の変更は出来ません。一切出来ません】


 はぁ。何故二回言ったのかは謎だが、とにかく変更は出来ないのだろう。

 っていうか、この天の声って一体何なんだろうな?

 特に害をなすようなものではないので、項目名については気にしないでおこう。


 では次だ。俺の隣でスヤスヤと眠るアーニャのステータスを見てみる。



名前:アーニャ

年齢:???

種族:ラミア

力:42(20) 魔力:0

能力:無し

配偶者満足度:25/500



 おぉ、アーニャのステータスも変わっている。

 たしかリディアとアーニャは村民から外れたって言ってたな。

 その代わりに配偶者になったのか。

 そしてステータスも村民から配偶者満足度に変化している。

 

「ん……。お、おはようございます? き、きゃあっ!?」


 ステータスを見ているとアーニャが目を覚ます。

 彼女は今自分が裸だということに気がついたようだ。

 慌てて形のいい胸を手で隠す。

 

 その仕草が可愛かったので、ちょっとだけイタズラしてみることにした。

 両手を押さえつけアーニャの体をマジマジと見つめる。

 うーん、美味しそう。


「い、いや……。見ないで下さ……。あん……」


 ツンと立ったサクランボを食べた後、優しくキスをした。

 おや? アーニャのステータスだがさらに変化……というか数値に変化が。



名前:アーニャ

年齢:???

種族:ラミア

力:42(20) 魔力:0

能力:無し

配偶者満足度:26/500(+1)



 キスをしたせいか、イタズラしたのが原因か分からんが、配偶者満足度が一つ増えていた。

 これは村民満足度の恋人版みたいなものなのかな?

 

「ラ、ライトさん、大変です! 早く起きて下さい!」

「リディア? ちょっと試したいことがあってさ。こっち来て」


「な、何ですか? って、きゃあんっ」


 リディアを毛布に引き込み、ちょっとだけイタズラしてみる。

 これがイタズラする前のステータスだ。



名前:リディア

年齢:???

種族:エルフ

力:25(+10) 魔力:35(+10)

能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)

配偶者満足度:1/500



 そしてイタズラの後はこうなる。



名前:リディア

年齢:???

種族:エルフ

力:25(+10) 魔力:35(+10)

能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)

配偶者満足度:18/500(+17)



 数値にムラはあるが、恐らく恋人とイチャイチャしたりすると数値が増えるみたいだな。


「うぅ、いきなり過ぎですぅ……」

「す、すごい。あんなところに指を……。べ、勉強になります」


 ピクピクしているリディアを見てアーニャはメモを取っていた。

 勉強熱心なのはいいことだ。次の夜に実践してあげよう。


「ははは、ごめんね。でさ、何かあったのか?」

「もう、急いでたのに……。二人とも、服を着て! 外を見て下さい!」


 夜の間はいつ異形が襲ってくるか分からない。

 なので拠点は完全に閉じて、朝になったら壁の一部を消して出入り出来るようにしてある。

 今の時間に外の様子を確認するには櫓を登るか小窓を覗くかだ。

 

 小屋を出るとエルフ達が壁に設置した小窓から外を眺めている。

 何があったのだろうか?


 俺達も外を見てみると……。


「うぁぁ……」

「うぅ……」


 二人の男女が倒れている。

 こ、これは一体……。

 そこでひとつ気付いたことがある。

 とりあえず今は二人を敷地内に入れてあげないと。


 壁を消去し、倒れていた人を保護する。

 恐らく彼らはリディア達と同様、かつての王都の住人だろう。

 一人はエルフの女性であり、もう一人はラミアの男性だった。

 二人とも死んだ魚のような目をしている。

 きっと呪われているんだ。だが拠点で一日過ごせば呪いは解け、意識を取り戻すはずだ。


 保護した二人の世話はエルフ達にお願いした。

 俺達は自分達の小屋に戻り何があったのかを話すことに。


「あのですね、外から変な声がして目が覚めたんです。気になって櫓から外を見たんですが、そしたらあの二人が……」

「倒れていたと。あのさ、実は昨日村民満足度が上がってね。こんな力を手に入れたみたいなんだ」


 俺は新しい派生効果、遭難者誘導のことを二人に話す。

 派生効果は敷地内成長促進に続き二つ目の能力となる。

 恐らく遭難者誘導という力だが……。


「まだ分からないことだらけなんだが、多分森にいる生き残っている者をここに誘う力なんだろうな」

「そうですね。あの方達はライト様の力に導かれてここに来たのでしょう。やはりライト様の力はすごいですね」


 とアーニャは誉めてくれた。

 どの程度の力かは分からないが、例えば一日に最低一人でも人員を確保出来るのであれば俺達にとって大きな戦力となる。 

 だって、この2ヶ月で見つけた生き残りは全部で5人しかいないからな。


 異形と共に戦ってくれる人材が増えるのは嬉しいが、問題もある。

 

「問題って?」

「あぁ。恐らくだがこれから定期的に村民になってくれる人は増えていくだろう。だからこそ問題なんだ。一日一人増えるとしてさ、一か月後には30人以上になる。土地も食糧も足りないだろう? 戦って生き残る必要もあるが、拠点で生きるためには生活を安定させる必要がある」


 今まで拠点を運営してきたが、所詮6人だ。

 別に食糧なんかは森から採ってくれば問題無い。猪一頭狩れば一週間は食っていけるからな。

 だがこれからは人数が増えるのであれば、そうもいかなくなる。

 

「やることは山積みだよ。食糧、水の安定供給だろ? 服だって作らなきゃならん。小屋だって今は壁を利用した簡素なものだ。大勢で生活するんだったらもっと快適に住めるようにしなくちゃ」


 他にも異形と戦うための武器も足りないし、大勢で住むのなら下水などの生活インフラを整える必要もある。

 

「リディア、アーニャ。これから次の満月までに皆がまもとに生活出来るように動く。言葉が通じない俺には君達の助けがいる。協力してくれるよな?」

「はい!」「お任せください!」


 と可愛い恋人達は元気良く返事をしてくれた。

 よし、今日は今後の予定を立てることにしよう。


◇◆◇


☆次の満月までに行うことリスト


・生活用水の確保:新たな水源を見つける。近くに泉はあるが水量が少ないので除外。


・穀物の栽培:ナババを主食とする。だがナババの栽培には大量の水が必要。生活用水確保と同時進行とする。


・衣服作成:植物性、動物性問わず生糸の確保を目指す。アーニャが衣服に詳しいのでプロジェクトリーダーに任命する。


・住宅建築:村民になる人員によって変化するが、一日一人増えるとして考える必要がある。しかし一人一棟は現実的ではないので、村民達と要相談。


・防衛対策:武器の作成。エルフは弓を作り慣れているが前回の襲撃で多くが使い物にならなくなった。今は竹を使った複合弓の生産を考えている。


・娯楽:楽しく生活するには必要不可欠。とりあえず風呂に入れるようにはしたい。


「以上だ。全部を終わらせることは出来ないかもしれないから優先順位を決めて行動しよう」

「はい! ねぇアーニャ、みんなに伝えにいこ!」

「はい! ライト様、行ってきます!」


 俺の計画を村民に伝えるため、二人は小屋を出ていった。

 ふぅ、考えてたらもう一日が終わりそうだよ。

 頭を使うのって疲れるよな。

 やはり風呂は最優先かな?



◇◆◇


☆現在の総配偶者満足度44/500

・リディア:配偶者満足度18/500

・アーニャ:配偶者満足度26/500


☆総村民数5人

・エルフ:4人

・ラミア:1人


☆総村民満足度8/200



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



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