第34話 村民満足度50/50

「あむっ……。ライトさまぁ……」

 

 アーニャは俺に抱きつく……というか蛇の尻尾を俺の体に巻き付けてキスをし続ける。

 異形の襲撃を退け、お互い感極まってしまい、気持ちを抑えられなかった。

 

 キスをして分かったのだが、アーニャの舌は蛇のように二股に分かれている。

 二本の舌が俺の口の中で暴れまわるが如くだった。

 

「あー、いいなー。ライトさん、私にもキスして下さいー!」


 ん? この声は……。

 しまったー! リディアがいたんだった!

 っていうか、リディアという恋人がありながら、俺は一体何をしているんだ!?


 巻き付くアーニャを振りほどき、リディアに向き合う!

 そして全力で土下座した!


「ごめんなさい! 許してください!」


 ジャパニーズ土下座だ! キングオブ謝罪!

 産まれて初めてやる土下座だが、とにかく許しを乞わねば!


「ん? ライトさん、何をしてるんですか?」

「な、何って……。リディアに謝ってるんだ。本当にごめん。君という恋人がありながら俺は……」


「ふふ、ライトさん、顔を上げてください」

「え? ん……?」


 リディアは俺と顔を合わせてキスをしてくる。

 いつもの優しいキスだ。

 どうやら怒ってはいないらしい。

 

 ひとしきりリディアは俺とのキスを楽しんだ後……。


「んふ。やっぱりライトさんとのキスは美味しいです。ねぇ、ライトさん。後で少し話せますか? もちろんアーニャも一緒にです」


 ん? やっぱり怒ってるのかも……。

 アーニャと一緒にということは、俺を浮気者として、アーニャを泥棒猫として糾弾するのかもしれん。

 少なくともここは全て俺のせいにしなければ。

 

「あ、あぁ。もちろんだ。だが一度拠点を補強しなくちゃ。その後でもいいかな?」

「もちろんです。結構荒れちゃいましたもんね。私はアーニャと一緒に片付けをしてますね」


 リディアの言う通り、敷地内は折れた矢だったり破損した壁が落ちてたりと嵐が去った後のような状態だ。

 

 エルフ達も軽傷ではあるが、癒しが必要な者もいる。

 片付け、壁の補強、そして各自が休憩をとることにした。


 それにしてもまさかアーニャとキスをすることになるとは。

 しかしアーニャとのキスは凄かった。

 舌が二股に分かれているだけではなく、彼女の舌はかなり長い。

 キスだけであんなに夢中になるとは思わなかった。

 さすがラミア。さすラミ。

 むかーし、高いお金を出してセクシーなお店でお姉さんにお願いしたことがあるが、それの比ではないだろうな。

 

 なんて馬鹿なことを考えつつ壁の補強を終える。

 

「よく頑張ってくれたな……」


 と最後に壁を撫でておいた。

 初めは意味の分からない能力だとは思ったが、今はこの力を得たことを心から感謝している。

 俺にとって一番必要な力だったのかもしれないな。


 物言わぬ壁に感謝しつつ、補修を終え、俺は自分の小屋に帰っていく。

 そこには笑顔のリディアと緊張した顔のアーニャが待っていた。

 

 そ、そういえば話があるんだったな。

 どんなことを言われても俺のせいだし……。

 とにかく許してもらわねば。


 俺は謝罪の言葉を考えていたが、先に口を開いたのはリディアだ。

 しかも俺に向けてではなく、アーニャに話しかける。


「ほら、大丈夫だから。あなたの気持ちを伝えてね」

「リディアさん……。ありがとうございます……」


 なんかすごくいい雰囲気だぞ? 

 てっきり修羅場になると思ってたんだけど。


 アーニャは涙を拭いた後、静かに話し出す。


「ラ、ライト様……。主人にお仕えする身である私がこんな不遜なことを伝えることをお許しください。わ、私はライト様が好きなのです。お慕いしております……」


 告白されたー!?

 なんとなくだが彼女の気持ちには気付いていた。

 でもリディアがいる前で俺に告白する!?

 や、やはり修羅場になるのは避けられないのか……?


 やはりここは日本男児らしく、お断りをしておかねばなるまい。

 そりゃアーニャは可愛いよ。リディアがいなかったら俺から告白してたかもしれん。

 でもさ、やはり順番ってものがあるし。リディアは俺の大切な恋人だ。

 だからこそ、これ以上彼女を傷つけてはいけないだろう。


「アーニャ、ありがとう。気持ちは嬉しいよ。でもさ、俺にはリディアっていう恋人が……」

「それについてですが、私は問題無いですよ? 実はむしろ私からアーニャに提案したんです。二人でライトさんの恋人にならないかって」


 んん!? リディアさん、何言ってんの!?

 

「リ、リディア、どういうことだ?」

「話せば長くなるので、先に聞かせて下さい。ライトさんはアーニャのことが嫌いですか?」

「ライト様……」


 リディアはど直球な質問をし、アーニャは期待の眼差しを送る。

 これってどう答えたらいいの? 

 

 うーん、もうどうなってもいいや。

 自分の気持ちに正直になろう。


「嫌いじゃない……」

「なら好きですか?」


「好き……かも」

「本当ですか!? アーニャ、やったね!」

「リディアさん! あ、ありがとう……。うえぇーん」


 と二人は抱き合った。

 もう何がなんだか分からん。

 

「ふふ、泣かないの。でもこれでアーニャもライトさんの恋人になれたね。私も嬉しいよ。私が感じた幸せをアーニャもいっぱい感じてね」

「はい……」


 二人は抱き合いながら俺の恋人になれたことを喜ぶ。

 これって俺も喜ぶべきなのかなぁ。

 まさかこんなハーレム展開になるとは思ってなかったよ。


 ――ピコーンッ


【村民満足度が上限に達しました。成長ボーナスとして遭難者誘導が付与されます】


 おぉ、レベルアップだ。

 しかし今回は新しい壁はゲット出来なかったか。

 遭難者誘導か。どんな力なんだろうな。



◇◆◇


☆現在のステータス


名前:前川 来人

年齢:40

種族:ヒューマン

力:50(+25) 魔力:0 

能力:壁レベル2(竹)

派生効果①:敷地成長促進

派生効果②:遭難者誘導


名前:リディア

年齢:???

種族:エルフ(村民)

力:25(+10) 魔力:35(+10)

能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)

村民満足度:1/200


名前:アーニャ

年齢:???

種族:ラミア(村民)

力:42(20) 魔力:0

能力:無し

村民満足度:1/200



現在の村民数5人。総村民満足度5/200

☆エルフ

・リディア:村民満足度1/200

・村民エルフ3人:村民満足度3/200

☆ラミア

・アーニャ:村民満足度1/200


☆現在の物質

・毛皮15枚:様々な獣から剥いだ物。保温性が高い。

・燻製肉:50キロ程度貯蔵してある。リディアの精霊魔法により腐敗を遅らせている。貴重なタンパク源。今回の引っ越しでかなり減ってしまった。

・種芋:十個程度保存してある。味はヤマイモに近い。

・粉:20キロ程度貯蔵。ナババの実から作ったもの。

・塩:少量

・カエデの樹液:2L程

・毛皮の下着:各村民に一着ずつ。

・毛皮の布団:各村民に一つずつ配布。なお番になっている者には二人で一つの布団を配布してある。 

・竹槍:5本。地球の竹より頑丈であり、そう簡単に折れることはない。

・弓:リディア作成。現在庫は4丁。

・矢:リディア作成。150本。


☆現在の拠点

・竹壁

・家屋:3棟

・倉庫:2棟。本来は1棟の予定だったが、アーニャが来人の小屋に来たことにより、倉庫が増えた。

・櫓:4基

・625㎡(25m×25m)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



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