第19話 村民満足度10/10☆

 昨夜リディアとキスをしてしまった。

 どうやら彼女は俺に気があるらしい。

 とても嬉しい反面、なぜ俺みたいなおっさんを?とも思ったのだが。


「うふふ……」


 リディアは朝を迎えたというのに毛布の中で俺に抱きついて頬にチューをしてくる。

 たがが外れるとはこういうことを言うのだろうか?


 いやね俺だって男ですし、リディアのような美人が好いてくれるのは嬉しい。

 もう何もかも忘れて彼女を抱いてしまいたい……と思ってはいるのだが。


「こ、こら。今日もやることがあるんだから。ほら、毛布から出てくれ」


 タコのように絡み付くリディアは離し、何とか小屋の中から脱出する。

 

 さてと、俺の理性も持ちそうにないので今日は予定を変更しよう。

 

「あ、あのさ。悪いけど今日は森に行かずに水路作りに集中したい。リディアにも手伝って欲しいんだが」


 もちろん目的はリディアと一つになることである。 

 昨日いい雰囲気になった時、最後の理性を振り絞り、風呂が出来るまで待って欲しいと言ったのだ。

 言葉にはしなかったがリディアも察したようで、頬を染めながらも頷いてくれた。


「は、はい……。お風呂楽しみにしてます。私も頑張ります」


 君が楽しみにしてるのはお風呂以外にもあるんだろ? まぁそれは俺もなんだがね。

 それにしてもリディアって何気にエロいよな。


 ということで今日は二人で水路を作ることにした。


 軽く準備をしてから二人で川に向かう。

 昨日までで、大体三分の一程度までは終わらせてある。

 

 引き続き壁を加工して水路を作る。

 スコップがあれば便利なのだが、そんなものはない。

 幅のある木材を使って水路に溜まった泥をかき出さなければならない。  

 水路自体は俺の能力で簡単に作れるのだけが救いだな。


 大変な作業ではあったが、俺達の目的は同じだからだろうな。

 効率的に水路は出来上がっていく。

 後は拠点内に水路を引けば完成だ。


 だがその前に拠点内に風呂桶を作らなければならない。

 幸い昨日の内にリディアが大きな穴を掘ってくれた。

 地面に埋まるような風呂だから露天風呂になるんだろうな。

 

 俺とリディアは拠点に戻る。

 そして掘った穴に向かって壁を発動する。


【壁っ!】


 ――ズゴゴッ


 木製の湯船は一瞬で完成する。

 後は水路を湯船まで引き込めば完成だ。

 他にも生活用水のための水路も作っておく。

 水路を分岐させるだけなのでこれも楽なものだ。


「わぁー、これで水汲みに行かなくてもいいですね」


 とリディアは花が咲いたように笑う。

 最後に排水用の水路の説明をしてインフラ整備は終わりだ。

 これで生活が楽になるぞ。

 

 だが風呂を沸かすには大量の石を焼かなければならない。

 こっちの方が時間がかかるだろうな。

 リディアと一瞬に川原から大きめな石を拾ってくる。

 

 壁を活用して大量の薪を用意し、ガンガン石を焼き始めた。

 石を焼いている間、水路に水を流し続けている。

 まだ少し土が残ってたからな。

 しかし一時間もすると、ようやく水が透明になる。

 ふふ、これで綺麗な水を飲めるな。

 

 風呂に繋がる水路にも水を流し始める。

 みるみる内に風呂に水がたまっていく。

 30分もすれば満杯になるだろう。


 ある程度水がたまったところで焼けた石を風呂の中に落とす。

 

 ――ジュォォーッ ブクブク……


 大きな音を立てはしたが、温度はまだ上がらない。

 まぁ、気長に待つさ。



◇◆◇



 焼けた石を風呂に入れること数時間。

 ようやく風呂の温度が適温になる。

 リディアは早く入りたいようでウズウズしているようだ。


「わぁー……。気持ち良さそう……」

「だね。まだ夕方だし時間があるな。た、試しに一度入ってみるか?」


 とリディアに提案してみた。

 彼女はキョトンとした後、頬と長い耳を真っ赤にする。

 俺がしたいことを察してくれたようだ。


「あ、あんまり見ないで下さいね……。先に入ってて下さい」


 とリディアは自分の小屋に帰っていく。

 うーん、初めての風呂が異世界人と混浴か。

 楽しみだ。


 服を脱いでから壁を利用して作った風呂桶を使い体を洗う。

 定期的に水浴びはしていたが、やはりお湯は素晴らしい。

 気持ちいいだけではなく、汚れの落ちが違う。

 しっかり体を洗った後、湯船に浸かることに。


 ――ジワッ


 おぉ……。指先までしっかり温まる。

 これは夢心地だ。


「き、気持ちいいですか?」

「リディア?」


 後ろを振り向くとリディアが裸で立っていた。

 初めてリディアの裸を見たが、想像以上に美しかった。

 金色の長い髪、水色の瞳。

 エルフには似つかわしくない大きな胸。

 美しい。その一言だった。

 

「わ、私も入りますね。後ろを向いててくれると嬉しいんですが……」


 リディアも体を洗って風呂に入る。

 一応背を向けているのだが、振り向いてもいいかな?

 しかしまさかリディアのような美人とこんな展開になるとは思わなかった。

 

「あ、あの、こっちを向いてもいいですよ」

「う、うん」


 お互いどもりながも、正面を向きつつ風呂を楽しむ。

 いつしか緊張も解れ、会話を楽しみつつ風呂に浸かっていた。


「うふふ、すごく気持ちいいです」

「だね。苦労して作って良かったよ。あ、あのさ、ちょっと聞きたいんだがいいか?」


 もう彼女の気持ちは分かってはいるが、何故俺に好意を持ってくれているか聞いてみた。

 リディアの話では彼女自身はエルフの中ではさほど美人ではないらしい。

 どうやら独自の美に関する価値観があるようだ。

 

 この世界のエルフは女性は胸が小さいほど美しく、そして男性は若さより中年の顔つきがもてるとのことだ。

 しかも異邦人……いや転移者が主人公の小説が大ブームであり、リディアも例に漏れず転移者に憧れを抱いていたと。


「そうだったんだ……」


 彼女が俺を好いてくれるのは、どうやらミーハーな気持ちからだったようだ。

 ちょっと残念。


「で、でもですね。今はライトさんが異邦人だから好きなんじゃないんです。私を助けてくれた異邦人がライトさんじゃなかったら、ここまで好きになっては……。きゃあんっ」


 照れ臭いので、そのまま抱きしめてキスをしておいた。

 その後は……。まぁ言わなくても分かるだろ?

 しかしリディアは初めてだというのに乱れること乱れること。

 ちょっと心配になるほどだ。

 しかし望まれるのならば、それに応えるのが大和男子。


 それに俺も久しぶりだし、リディアの乱れ具合を見てかなり興奮してしまった。

 一回戦を終え、休憩しつつリディアに聞いてみる。

 

「痛くなかった?」

「だ、大丈夫です……」


 ほっ、良かった。ちょっと安心。

 ならもう少しだけ楽しんでも大丈夫かな?

 リディアを抱きしめた時、いつものあの音が聞こえてきた。

 しかしその内容だが……。


 ――ピコーンッ


【村民満足度が上限に達しました。成長ボーナスとして新しい壁が建てられます】


 ん? 新しい壁?

 レベルアップしたのは嬉しいが、一体どんな壁なんだろうか?



☆☆☆



 ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!

 面白いと思って頂き、ご評価頂けるとモチベーションアップに繋がります!

 更新速度が速くなるかもです! ☆☆☆


 これからも壁から始まる異世界スローライフをよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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