第24話 これからの事を相談したよ
流れ人がベスタへ規定数超えたからなのか乗合馬車で街間がつながっていた。ちゃんと護衛もいて安心出来る仕様のようだ。それと、アップデートの予告があった。
主に影響を受けるのはやはり食事だろう。満腹度で表されて、お腹が減りすぎると体に力が入らず動けなくなるとのこと。あとは環境の影響を受けるようになる。これは気候じゃないかな?暑さとかで汗かいたり喉乾いたり、雨に濡れて体温下がったりとか。服は濡れるが透けない仕様らしいから安心だね!
と言っても、不快感が出るからなにか対策とらないといけないかも?雨の日は生産とかにしてもいいけどね。それと、第二陣がくるのかぁ…住民に被害でないといいけど…錬金術師も増えて欲しいんだけどどうなるやら。
あれこれ考えている内にアルファスに着いたようだ。少し離れていただけなのにひどく懐かしい気持ちになる。
まずは帰ってきた報告をテオにしようかな。連絡入れずに戻ってきちゃったけど…大丈夫だよね?
僕は懐かしき錬金術ギルドの扉を開いた。奥まで歩いていき、受付に人が突っ伏しているのが見えた。なんか初めて来たときのことを思い出すなぁ。
「テオさんただいま、戻ってきたよ。」
僕が声をかけるとテオが勢いよく顔をあげ、なにやら急に泣き顔になり飛びついてきた。
「ワタリ!無事でよかったー!ベスタに行って数日後に魔物が攻め入ってくるって情報が入ってすごく心配したんだよ!大丈夫?怪我してない?」
僕の体をペタペタと触る。泣き顔だったのが安心した雰囲気になっているけど…目の下に隈出来ているな…ほんと心配してくれたんだ、すごく嬉しい。
「テオさん、僕は流れ人なので一応死んでも生き返れますよ?死にたくありませんから気を付けて行動していますが…でも、心配してくれてありがとうございます。一応、領主の私兵達と同じ配置だったので、伝わっているかと思い連絡を怠ってすみません。」
「いやいやいや!無事な姿見せてくれただけでも嬉しいよ!…あの領主め、なにも連絡きてなかったんだよね…」
「とりあえず積もる話は後にして、テオさんしっかり寝てください。目の下すごいことになってますよ?」
いま気づいたのか、テオは恥ずかしそうにして顔を逸らした。
「うん、ちゃんと寝て来るよ!起きたら向こうでどんなことしたのか教えてね?…それと、寝れるまで手を繋いでて欲しいな…いなくなると心配で眠れないかもしれないし…ダメ?」
テオ…その上目遣いは反則だって…僕よりかなり年上なのに姿が童女だから似合いすぎて破壊力が…
「う、うん…いいよ?」
「やったぁ!ほらほらワタリ部屋にいこ!」
テオは僕の腕を抱きしめながら案内する。そしてなぜかベットの中にまで引っ張り込んだ。
「テ、テオさんなにか違くない?」
「違わないよ!ワタリも気を張ってて疲れただろうし一緒に休むためだよ!ほらほら腕を貸して!」
テオは僕の腕を枕にしこちらを向いている。
「えへへ、なんかすっごく恥ずかしいね。」
「ほんとだよ…まったく、今日だけだからね?向こうの世界で休めたと思ったけど、意外と横になったら眠くなってきちゃったよ…ほら、テオさんも。おやすみ。」
「は~い!おやすみなさい!」
そう言ってテオは目をつぶった。しばらくすると寝息が聞こえてきた。
やっぱりテオは全然眠れてなかったんだろうな…これならちゃんと連絡とっておけばよかった…次があるなら気を付けない、と…
意識が浮上してくる。
いつの間にか眠っちゃってたみたいだな。僕は軽く伸びをし目を開けた。
「テオさん、なぜこちらを見つめているんです…?ちゃんと寝たんですか?」
「寝たよー!大丈夫!ほら、もう夜だよ!」
たしかに窓の外は真っ暗になっていた。馬車が付いたほうが昼過ぎだから長いこと眠ってしまっていたようだ。
「もうこんな時間なんだ…すみません、テオさんより寝すぎてしまい…」
「ん-ん、気にしなくて平気だよ!それじゃご飯にしようか、その後どんなことがあったのか教えてね?」
僕達は遅めの夕飯を食べた。片付けをして、食後の紅茶を飲みながら語る。
ベスタへ向かう際に解体や生産職の戦いについて、道中のクマについて、状態異常の採取と精製についてなど。…そしてベスタ防衛戦を。
途中まで、にこにこと話を聞いていたテオは防衛戦の話になると暗い表情になった。
「街の住民達に被害はでませんでしたが、冒険者の中には重症者がそれなりにいました…部位欠損はなく、きちんと回復することができるようです。」
「うん…それだけの規模を相手に死者がいなかったのは幸いだったね。これは流れ人達が壁になったからと捉えてもよさそうだね…でも、勝手な行動により部隊を危険にさらすのは危なっかしいから、他の街にも情報を共有したほうがいいね。領主がしているかもしれないけどさ。」
「そうですね…僕が最初にいた西門は流れ人が動きを阻害し押し込まれそうでしたから…うまく指揮を乱せたので押し切ることができましたが一歩間違えば甚大な被害がでたかも。」
「ほんとにね…というかワタリすっごい活躍してるじゃないか!びっくりしたよ!ボウガンを改造して飛距離伸ばすとか、矢に毒付与とか!」
「襲ってきた魔物は毒持ちは麻痺持ちだったので毒耐性高いと思って高濃縮したものを使ったんですよね…通常使いはさすがに無理ですよ…いざというときの為ですね。」
「それに、北側での魔法の使用方法とか!ワタリがいなかったら完全に戦線が崩壊してるじゃないか。」
「飛んでいる魔物を落としただけだよ…しかも雷魔法を通しただけだからダメージ的なものは軽減されちゃってるし。」
そうなんだよね、直接的になっちゃったから倒せなくて感電というか麻痺させてるのと視覚、聴覚を奪ったくらいなんだよねー…ちゃんとした魔法使いならあれで倒し切れてるだろうし。
「あ、テオさん。この世界の魔法使いだったら僕のやった方法で倒し切れるんじゃないかな?」
「ん-、かなりの高レベルじゃないと難しいと思うよ?理由として魔法の同時起動だね、霧を作って維持するのと雷を流すこと。あとはイメージの問題で霧をうまく作れないと思う。複数人でやると魔力の干渉が起こって威力が下がると思うよ。合成魔法とかだったら平気だろうけど、魔力の相性や仲の良さ次第で一朝一夕で出来るものじゃないし。」
なるほど…科学知識により魔法使用に補正かかっている可能性があるか。複数で魔力を練り変換させるっていうのは確かに難しそうだ…
「あ、ワタリ。条件満たしているからギルド証を更新しようか。」
テオは僕からギルド証を受け取り更新手続きを済ませた。
名前:ワタリ
所属:錬金術ギルド
階級:C(S~Fの7段階)
称号:流れ人の良心
スキル:錬金12、言語理解、植物鑑定6、生物鑑定5、魔力操作15、鍛冶5、彫金5
裁縫5、調合8、解体術
「うん、きちんと練習を積んでいるようでかなり伸びているね!薬品関連も最近必要だったから伸びがいいし。」
「テオさん、これからの方針を相談したいのですが…僕としてはアルファスに拠点を置いて、素材採取でたまに出かけるくらいにするのが目標なんですけど…」
僕はこの穏やかな雰囲気のアルファスが気に入っている。流れ人で慌ただしくなることがあるが…そして、高ランクの素材を使わないとスキルが上がらないため、遠くまで旅にでる必要がある。これがネックになっているのだ。転移が出来ればいいのだが、今回のアップデートでは追加はされない。
「そうだね…出来れば高ランクの素材を使って色々と作るのが良いと思うけど…わたしとしてもなるべく一緒にいたいからね。
ベスタを北へ馬車で5日かけて進むと王都があってね。そこで魔道具の研究、そして遺跡が王城の地下に広がっているんだよ。」
「そんなところに王城があって大丈夫なのですか…?その、魔物が出てきたりとか…」
「逆に王城の地下にあることで警備がしっかりできるのと入場者を把握できるからいいらしいよ?それと、その遺跡からは色々と魔道具が発見されるから王城ですぐ研究が出来るんだよね。もしかしたら転移に関する研究も進んでいるかも?」
…それに掛けるか。結構遠いところに王城があるし、多分一般入場はお断りされるだろうから紹介状必要かも?テオやラナさんには色々とお世話になっているからこれ以上迷惑かけるのもはばかれるし…
「そうですね…それなら王都を目指してみたいと思います。それと、あまり連絡を送れませんでしたがこれからは頻度上げても大丈夫でしょうか…?」
テオは勢いよく首を縦に振る
「うんうん!大丈夫だよ!やった、心配ってのもあるんだけど弟子だし可愛い男の子だし毎日やりとりしたかったんだよ!。」
「あはは…なるべく送るようにしますね?それに、相談のってくれて助かりました。今回の防衛戦で自分が何をしたいのかを考えたりしたので…」
「まだ若いんだから色々と悩むといいよ!いろんな事を経験して自分の糧にして、それでも迷うならいつでも相談にのるよ!」
「…ありがとうございます!ほんとテオさんが錬金術のギルマスで、優しい人でよかった。」
僕はそう言い、テオに抱き着いた。身長は僕のが少し高いけれど、そのときのテオは母親のような雰囲気で僕をあやしてくれた。
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