第10話 錬金の基礎を学ぼう

 ん…ふわぁぁ…あれ?ログアウトしてる?

 今何時だ…?ってもうこんな時間か!?6時間すぎてるしそりゃ強制終了なるよね…ログアウトから逆算するとあと1時間くらいでまたログイン出来るのか。


 でもなんでログアウトになったんだっけ…えーと…

あ、そうだ!錬金で制作中に目の前が真っ暗になったんだ…貧血っぽい症状だったんだけど…魔力を注ぎすぎた?というか僕の魔力ってどのくらいなんだ…ステータスで表示されないから体感でチェックするしかないのかな?

 もしくはちゃんと内に意識していたら残りがどのくらいか分かるのかも?次試すときは気にしておこう。

 でも…倒れちゃったからテオ心配してるだろうなぁ。怒られちゃうかも。


 はぁ…とりあえずは寝汗かいてるしシャワー浴びて軽くご飯食べるかな。


 ふぅさっぱり!ご飯は炊く時間ないからパスタ茹でてインスタントだけどソース暖めてっと、いただきます。


 でも、異世界へのすゝめはほんとリアルだなぁ…というか向こうも現実かもしれない。ログアウトしてもアバターが数日間は残る仕様みたいだし(セーフゾーンや街中の宿屋以外だと魔物や人に襲われる)僕の体は大丈夫かな?

 まぁ…外で強制終了になっても性的ないたずらはされないみたいだし教会に送られるだけらしいから、トラウマにはならないみたいだけど…数日ログインしない人もアバターが維持されずに教会送りだっけか。

 って、僕の体のが心配な状況じゃないか!?テオ、変ないたずらしてないよね…?



―1時間後―


 よし、ログイン出来るようになった!では行くぞー!


 意識が浮上してくる。あ…ちゃんとベットで寝てる、わざわざ運んでくれたのかな?こういう気づかいが嬉しいよね。というか隣からいい匂いするんだけど…これってもしかしなくても…


「テオさん、起きてください!」


「…あ、おはようワタリ、そろそろかなって思ってたけどちゃんと目覚めたんだね。」

 大きく背伸びしながらテオは答えた。


「はい、長時間こちらにいると向こうの肉体に影響がでてしまうので数日に1度はきちんと休む必要があるので…それと、テオさんわざわざベットに運んでくれてありがとうございます。」


「いいよいいよー!気にしなくて!じゃあ、お小言というかアドバイスね!

錬金の方法は合っていたよ、粉末にするところは魔力でまだ細かくできないから乳鉢で細かくするのはいい方法だったし。ただ、最後の魔力を籠める所で限界以上に籠めたから、魔力欠乏症になったんだよ。」


 やっぱりあれは魔力がなくなって起こるのか…


「完成品は通常のポーションより高性能になるんだけど、割りに合わないからしっかりと必要魔力を把握すること、自分の魔力量もね!」


「素材以上の性能を持たせる場合は魔力を増やすってことですね?必要に駆られたらするかもしれませんが…気絶しないようきちんと把握したいと思います、心配かけてすみません。」


「そうだね、あまり無理しないでね?でも一発で成功するなんてすごいよ!わたしも鼻が高いし、これなら他の手法や生産ギルド回るの早くなりそう!あ、知識や技術学ぶために色々と回ってもらうからね?」


 あー…確かに。今回のポーションだって薬学に関して分かっていればもっと無駄が省けただろうし、金属加工や合成も鍛冶分野と合わさる部分あるよね。


「知識を学ぶことで錬金の幅が広がるって解釈で大丈夫でしょうか?」


「うん、その認識で大丈夫だよ。だからこそ錬金は人を選ぶんだけど、やれることがどんどん広がるから楽しいよ!じゃあ次は金属の成型やろうか、これも錬金の基本技術なんだよ浸透っていう。」


「えーと…魔力を物質に籠めてイメージ通りに形作るんでしたっけ?」


「そうそう、よく覚えてるね!浸透は形を作る他に物質に魔力を定着させることもできるから覚えておいてね?じゃあまずは銅から試そうか、ほんとは銀のが魔力の通りもいいし柔らかいんだけど、ある程度抵抗があるほうが練習になるからね!」


 銅の塊を手に取り、素材を意識する。えっと、現代知識だと元素Cuで…ってこれじゃだめだ、現代にない素材も扱うならこのアプローチはダメだ!

 ということは魔力による識別というか、構造解析になるのかな。うん…魔力が浸透していく感じがする…ただ、僕の体を最初循環させていたみたいに速度が遅いな…これが物質の抵抗なのかも?


 20分ほどかけて銅塊全体に行きわたった。魔力量は大丈夫なんだけど集中し続けるのが厳しい…額から汗が垂れて来る。このあとは成型…魔力を物質ごとくるんで、こう、動かす!ふぅ…インゴットの形が出来た…これほんと大変だね;もっと魔力操作練習しないと生産だけで時間が潰れる…


「はぁ、はぁ…テオさんこれでどうでしょう?」


 できたインゴットをテオは魔力を通し確認していた。やっぱ識別にも使えるってことだね。


「うん、上手くできてるよ!慣れてない人だと気泡があったり空洞があったりするんだけど、隙間なくインゴットに出来てる!すごいよー!」


 時間はかかったけど上手くいって良かった。それに、この上手くできたときのテオの笑顔に癒されるし…というか年上ってことを忘れちゃう…


「他の手法で抽出もあるけど、そっちもやっとく?成型ができれば問題ないと思うけど。」


「えっと、鉱石から金属のみを取り出すってことですか?魔力抵抗の違いなどで物質分けしてする感じの。」


「そうそう!分別するだけで形を気にしなくていいから成型が応用技術かな。ワタリはもうできるから数こなすほうがいいと思う。ただ、抽出は他の用途があるんだよ!毒成分を素材から抜き出すとかね、血清作るのにも役立つの。」


「もしかして、人体からも毒成分を抜き出せるのですか?そうなると血清とか解毒薬が必要なさそうですが…」


「んーっとね、魔力って人によって質がちがうし感情によって毒にも薬にもなるから人に対して浸透させたらいけないんだよ?見ず知らずの人にいきなり内部から破壊されるかもってなると怖いでしょ?」


 確かにそうだ…それに信頼しているかで魔力にたいして無意識に抵抗されるだろうし…テオとの魔力循環練習もお互いが信頼していたからスムーズにいったってのもあるよね…というか浸透ってそう考えるとかなり危険な使い方もできちゃうんだね…


「分かりました、気を付けます!」


「まぁ、攻撃性の意識や、魔力運用に長けていれば問題ないから大丈夫!

 それじゃここにある金属塊を成型お願いね!ちなみに成型したやつは後日練習に使うから手を抜かないようにね!魔力切れそうなときはこの青いポーションで回復!」


 部屋いっぱいに金属あるんだけど…これ全部となるとかなり時間かかりそうだ…意外とスパルタなんだなぁと思いながら僕は作業を進めていく。

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