第51話 支配者の指輪
「これ、ほんとに俺が貰っていいのか?」
「ああ、私には使い道が無いからな」
リングを摘み顔の前に掲げてしげしげと眺める。
そのリングには鮮血の様な赤いルビーが嵌っており、リングの部分は闇の様な漆黒に染まっていた。
見れば見るほど不吉な印象を受けるアイテムだ。
なんか装備したら呪われそうだな……
ブラドからドロップしたアイテムで、テイマー系のアイテムだ。
装着すると、支配下にあるモンスターから能力に合わせて色々な恩恵を受ける事が出来る強力なアイテムらしい。
呪いはかかっていないとの事だが、見れば見るほど呪いのアイテムにしか見えない。
本来ならパーティーの報酬として何らかの方法――主に現金――で分け合う物だが、ティーエさん達はヴラドと戦っていないという事で、俺と彩音の2人で分ける事になった。
リンもヴラドとは戦ってはいるのだが、リンは依頼主であってパーティーメンバーではないという事で除外されている。
「もう一度聞くけど、本当にタダでいいのか?」
彩音は自分に使い道が無いからタダでくれると言っているが、このリングの価値はドラゴンリングにも匹敵する。
フラムがアイテムの鑑定をしたところ、ドラゴンリングと同じSSランクの判定がでており、国宝級と言って差し支えないだろう。
因みにフラムはドルイドだけでなく錬金術師としても優秀らしく、鑑定の精度は100%らしい。
つまり、鑑定に間違いはないという事だ。
「一々何度も同じ事を聞くな、しつこいぞ。やると言ったらやる」
「そっか、じゃあ有難く頂くよ」
恐らく黙って囮にした事を悪く思っての行動なのだろう。
今でも思い出すとちょっと腹が立つが、こんな高価なものを貰ったら許さざる得ないな。
「ね!ね!指輪付けてみましょう!」
リンが俺の腕を引きながら催促してくる。
アイテムの効果がどれ程の物か、早く知りたくてうずうずしているようだ。
やれやれ、しょうがねぇな。
見た目的に若干抵抗があるが、グダグダしててもしょうがない。
覚悟を決めて、リングを指にはめる。
その瞬間、指輪を通じてリンから膨大な力が流れてくるのを感じた。
うわ!やっべぇなこれ。
リンだけでこれなら、他の召喚呼び出した日にはティータぐらい軽くぶっとばせるんじゃねーか?
力が溢れてくるとは正にこの事だ、今なら素手で岩を軽く砕けるんじゃないかとすら思えてくる。
「たかしさん凄いです!」
リンが唐突に叫ぶ。
本当によく叫ぶ娘である。
「ドラゴンリングほどじゃないけど、たかしさんがリングを付けた瞬間体から力が凄い漲ってきました!」
どうやら
こりゃいい物が手に入った。
彩音への寄生卒業も近いなこりゃ。
ひょっとしてそろそろ俺の時代が来るんじゃなかろうか?
注※来ません
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