第2話 来訪
「みなさんおはようございます。今日はルウリ先生がいらっしゃる日です……。」
朝はゼニス神父の放送で目を覚ます。
スピーカーから響く振動は、私の頭や枕もとの貯金箱を揺さぶった。そんなんだから、あと五分とも言えず。そのまま厭が応でも起こされる。
……起こしてくれるなら、もう少し優しくて欲しい。この魔道具、なんとかならないだろうか?
すこしだけ恨めしそうにスピーカーを睨み付けてから、うつらうつらと貯金箱を床下に隠して、よれた赤いワンピースを着る。
どこかのだれかのお下がり。けれども、とても気に入っている。
鏡の前に座って、大きな櫛で自慢の赤髪を整えて、後ろに大きな一本の三つ編みを作り、立ち上がって一回転。目の前の可憐な少女が、かわいらしく微笑む。
…………よし、今日も完璧だ。
部屋を出る前に、忘れずに首にかける。丸い二つの持ち手に麻縄を通しただけのそれ。
—————パパとママの大切な金切り鋏を。
バカな勇者と金切り鋏 @nnn1234
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。バカな勇者と金切り鋏の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます