第5章 ブランクの果て……、それはツンデレ。なに言ってんだか。

第16話:校内一美少年くんのジェラシー。お前ら、マジメにやれ!。

まずは私の家で全体ミーティングを行った。

石川翔と沢田唯人は、私とマーちゃんの関係を聞いて腰を抜かした。

「マジでッ!?」

「大ニュースじゃん!。みんなに言おうぜッ」

「だめだめッ!。もう、勉強勉強」

私は必死で抵抗する。

「マー、何で黙ってたんだよ?」

「んん……何となく……」

「びっくりだよなあ、マーとガリ勉ちゃんがねえ」

ほんと……。

私はマーちゃんを見た。

マーちゃんも私を見てた。

二人だけで暗黙に照れ合った。

マーちゃん……。


さて、勉強である。

日本史は100%暗記だ。

まず教科書の1学期の試験範囲を読ませて、私が指定した単語をチェックペンで塗りつぶさせる、

その後、チェックシートをかぶせて朗読させ、そして、内容を把握しながら単語を暗記させていく。

これが基礎トレーニング。

生麦なまむぎ事件って、これ、重要じゃないの?。この間、時代劇でやってたぜ?」

とさっそく石川翔がツッコむ。

「それは無視。追試の合格ラインは70点。だから70点を取る勉強をする。点になるか・ならないか分からないところは捨てて、確実に得点できるところを重点的にやる。時間が無いからこれしかない」

「ほおおうッ!」

沢田唯人がニヤリと感心する。

「さ、早く教科書読んじゃおうぜッ」

マーちゃんが真面目にまとめる。

でも、真面目にならないのが集団だよなあ……。

男3人集まればドンチャン騒ぎに花が咲き乱れるのは当然で、

無口なマーちゃんは黙々と取り組むけど、

石川翔と沢田唯人はオシャベリ大好き人間である。

さっそく沢田唯人がかましだした。

篤姫あつひめって全然出てこないじゃん。宮﨑あおいちゃん、随分政治に口出してたよ」

「あれはドラマ。せいぜい手紙書くくらい。大奥を出られない人が政治に参加できるわけないじゃん」

「でもさ、大奥でサービスしちゃえば、アメリカ人も結構マケてくれたんじゃないの?」

「接待マージャンじゃないんだから」

「そこをあの手この手でさッ、エヘヘッ」

「唯人ッ、真面目にやれよッ」

「ごめんごめん」

マーちゃんがなんとか取りつくろう。さすがだ。

でも、石川翔の下ネタ攻撃にはマーちゃんも冷静さを失った。

「延塚、アソコ触っていいよ」

「ナニ言ってんのッ……」

「やっぱ中学に入って急にでっかくなってさ」

「えッ、ホント?」

「ビックリしてさ。にぎれるぐらいあるよ。ちょっと触ってみな」

「え……いいよお……」

「でも、触ってみたいでしょ?」

「そ、そりゃ、まあ……」

「だから、『いいよ』ってッ」

「イヤ~ん、でも……」

ニヤニヤ照れていたら急にハッと身体からだに電気が走った。

前の人物の身体からだがブルブル震えている。

私は恐る恐るマーちゃんを見たら、だあああッやっぱり!。

燃えるようなマーちゃんの怒りの視線が私を射貫いぬこうとしている!。

まずい……。私だけをにらみ付けている。

石川翔と私ではない。私だけだ。

ジェラシーなのか何なのかよく分かんないけど、とにかく私に怒っている。

「いやいや、その、マーちゃん……」

「俺、帰る!」

「ちょちょちょッ、ちょっと待って!。ちゃんとやる!。お願い!。座って!」

これはまずい。

これじゃいくら勉強しても受からん。

私は初日から軌道きどう修正する羽目に。

「よしッ。三人でやるのは今日で最後。もう、勉強にならない。どうしても宴会になっちゃう。だから、次からは一人一人順番に教えていく。個別に教えていく。それでいこう。これじゃ、全然進まないよ。ね?。いいでしょ?」

「個別って俺んちくるの?」

「そうだよッ。もう、家庭教師になってみっちりしごいてやる。これしかないッ。家の人にも言っといて。分かった!?」

石川翔と沢田唯人は渋々承諾したけど、マーちゃんは逆に厳しく

「家庭訪問した直ちゃんが逆にふざけちゃだめだよ」

と釘を刺した。

ごもっともです……。

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