第15話:処女喪失したのはマーちゃんの方だったりして、エヘヘ。

昼休み、一気に壁が崩れた私たちは、さっそく追試のことについて話し合った。

「いいの?、そんなことして?。模試があるんじゃないの?」

「もういいよ。2週間ぐらいペースを落としても受験には響かないよ。順位は下がるだろうけどそれはいい。とにかくマーちゃんの追試なんとかしようよ」

「直ちゃん……」

「澄ちゃん『マーちゃんに手伝ってもらわないと困る』って言ってたよ?」

「ごめんね、オフクロ余計なこと言って」

「もうそれはいいって」

「ありがとう……」

「石川さんと沢田さんも誘いなよ。三人面倒見るよ」

「ホントッ!」

「みんなで受かろう」

「直ちゃんッ……!」

ボロボロ涙を流すマーちゃん。

校内一のヤンキーが私の前で号泣する。

してくれる。

たまらなく嬉しい……。

ぶあぶあ胸が熱くて焼けそう……。

「やっぱり優しいな、直ちゃん。ずっと優しい。むかし2年生のとき居残りやらされて、直ちゃん、ずっと俺のこと待っててくれたの覚えてる?」

「覚えてる。よく覚えてるね、マーちゃんも」

「忘れるわけないじゃん。俺、全部覚えてるよ。直ちゃんと過ごしたこと」

「記憶力いいんだ、ハハハハハ」

私は余裕で笑った。

だめだ、胸が締め付けられる……。

顔を引きつらせながら必死にクールな笑顔を作った。

マーちゃんもしおらしく笑った。

いけない、これ以上二人きりでいると私はこらえきれず号泣する。

よく余裕なんて図々しくかましてられるもんだ。

マーちゃんよりずっと想い出に執着していた自分のくせに……。

マーちゃん、私、嬉しくて苦しいよ!。4年間、取り戻せたね!。

私たち、あの時のままだったんだよ!。

何も変わってなかったんだよ。

今、私たちは完全に心を共有する。

でも、今日はここまで。

時間がない。追試だ。

マーちゃんが急いで石川翔と沢田唯人に知らせに行った。

さっそく私とマーちゃん、そして石川翔、沢田唯人を加えた四人の、2週間後の追試に向けた試験勉強が始まった。

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