第17話 門の向こうへ
携帯電話を耳にあてたまま、ルージュはゆっくりと緑の丘を踏みしめながら登っていた。
「うん。記憶はまだ完全には戻ってないけど、今はそれでもいいかなって思ってる。アクアの生体共振振動が『家族の定義』を世界中に送ったとき、私の中のなにかも揺り動かされたみたい。スイレンも、あの時、なにか感じたのよね?
緑の丘、山の中腹にある赤い柵状の門の前で、ルージュは立ち止まった。
(会って、まず、なんて言おう? やっぱり怒られるわよね? ううん。ここで考えてるより、まず会わなくっちゃ。たとえなにか言われても大丈夫。私が、私から、家族として接するんだから。そうすれば、きっと伝わるわ)
そうして、ルージュは門をくぐった。
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