ヘッドカット
横淀
ヘッドカット
妹が頭から出血した。
「もう嫌だー!」
と彼女は叫ぶと刃物を脳天に突き刺し、そのまま真一文字に切り裂いたのだ。
赤黒い、液体が、放射状に勢いよく噴き出る。僕は救急車を呼んだ。よく分からないけれど、救急車を呼ぶのはこれで何回目かな気がした。
こんなに何回も救急車にお世話になるなんて悪いなあと思いながら、病院に到着した。
僕は看護師さんの話を聞いた。
「頭は縫えますが、精神科はいっぱいなものでして。」
精神科の方に目を向けると大きな動物が沢山詰まっていた。
まあ、最悪自分で縫えば良いかと思った。
帰りの車に揺られながら僕は狐を描いた。永遠に狐を描いた。なかなか上手く描けない。こんなの狐じゃない。でも可愛いとは思う。
少し上手くなってきたところで家に帰ってきてしまった。
果たして僕の大事な妹はどうなったんだろう。もう、僕にはわからない。
ふと左手を見ると、腕にに大きな傷跡があった。深い深い傷のようだった。それを何度も、何度も、縫合した痕があった。
妹は無事なのだろうか。
ヘッドカット 横淀 @yokoyodo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
風邪/横淀
★6 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます