欠陥品な俺の学校生活
影束ライト
第一話 特異体質
現代世界では、数はそれほど多くないが、様々な人が「特異体質」を持っている。
この「特異体質」とは、漫画やアニメみたく、火が出せたり、物を創り出すことができるようなものでは無い。
ここで言う、主な「特異体質」とは、例えば
体が人よりかなり柔らかい。だったり、少し遠くの物を見ることができる。だったりと地味なものが多い。
それでいて、ぎりぎり普通の人間でもできないことは無い。と、思える範疇のものである。
だがやはり、例外は存在する。
「特異体質」中には、人間の限界を越える身体能力を発揮できるものや、百発百中の占いなどの、
あまり華やかさは無いが、普通ではできない、正しく特殊と言える「特異体質」がある。
ちなみに、この話の主人公は「特異体質」の中でも後者。つまり、普通の人間では不可能な、ことができる力を持っている。
だが、彼は普通の人間にある物を持っていない。
この話は、そんな人間として「欠陥」している少年の話だ。
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「ふわぁぁ〜。カケル君、今日は温かくて眠いね」
「温かいのは分かるが、ヒトミお前が眠いのは、昨日遅くまでゲームやってたからだろ?まったく新学期早々、何してるんだよ」
そんな会話をしているのは、制服に見を包んだ男女。
眠そうな声を出した方は、長い黒髪に整った顔立ちをしている女子高校生。
それにツッコミを入れ、カケル君と呼ばれたのは、一見平凡そうな見た目をしながらも、どこか年離れした落ち着きを感じさせる男子高校生。
二人が何気ない会話を交わしながら歩いていると、
「なぁ、俺らと遊ぼうぜ」
「ちょっとだけだから、な、頼むよ〜」
「すいませんわたし達の急いでるので…」
遠くからそんな会話が聞こえてくる。
カケルとヒトミは、顔を見合わせる。
「……ヒトミ」
「はいはい、ちょっと待って」
ヒトミが、会話をしている男女の方を見る。
「う〜ん。完全に男に言い寄られて、女の子たちが困ってる展開だね」
「さすが、ヒトミの特異体質『遠見』。よく見えるな。…それじゃあ」
「はいはい。鞄は持っててあげる。いってらしゃい」
「ああ。いってくる」
カケルは、鞄をヒトミに渡し、会話をしている、男女の元へと行く。
「ほんと、お人好しだなぁ」
そんな言葉をヒトミはつぶやくが、すでにカケルは、その言葉が届かない距離にいた。
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(あぁ、もう最悪)
絡まれている女子の一人は、そんなことを思い、背中に隠れているもうひとりの女子を庇いながら男に対応をする。
「ちょとだけだから、な」
「すいません。本当急いでるので」
(せっかく今日から、楽しい高校生活が始まるはずだったのに)
「ほら、後ろの子も一緒にさ」
「やめて、私の妹に近づかないで」
妹、と呼ばれた後ろの女子は怯え。現在対応している姉である女子の後ろで身を縮めている。
「ほら、実は俺特異体質者でさ。ほら、こうやって指の関節を゛ゴキゴキ゛な、いつでも音を鳴らすことができるんだぜ」
「なら俺も、ほら、俺はこうやって中指を逆に曲げるんだよ」
二人の男は、自慢をするように、指の関節を鳴らしたり、中指を逆に曲げたりする。
そんなことをすれば当然、
(なに!?この人たち、いきなり特異体質自慢して、気持ち悪!!誰か、助けて)
姉である女子は、突然の恐怖で顔を下に向け、妹を庇いながら、助けを求める。
そして、
「あの、……」
「……え?」
「彼女達が嫌がってるんで、どいてくれませんか?」
助けはやってきた。
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