朝、トーストを目の前にして、私の握ったジャムの瓶の蓋は固くてなかなか開かなかった。

苦戦する私を見て妻が言った。

「その瓶、オスだったのね」

「…オス?」

「固い瓶はオスで軟らかい瓶はメスなのよ」

「何だって?」

「それと、よく見るとオスの瓶の方が派手な見た目をしているわ。勿論、メスの瓶の気を引く為よ」

『そんなバカな』と言おうとした私は、その言葉を飲み込んだ。

丁度、朝の情報番組で苺畑に集まる瓶のつがいのニュースが流れているのが目に入ったのだ。

妻は早くオスの瓶の蓋を開けて欲しそうな顔をして、こちらを見ていた。

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