パンツ
終業のベルを聞き、部長が安堵の溜息をついた。
「どうされたんですか?」
「実は、今日の掲揚台のパンツは俺のだったんだ…」
「えぇっ!今日、社長はバカンスでしたよね?」
この会社では、社長が不在の時には社旗と共に社長のパンツを掲揚する習わしがあるのだ。
これは一人暮らしの女性が防犯の為に男物のパンツを干すのと同じ原理で、社長の居ぬ間に会社が外資系に乗っ取られるのを防ぐ対策なのである。
「社長がパンツを置き忘れてバカンスに行ってしまったから、止む無くサイズが同じ私のパンツに白羽の矢が立ったという訳だ」
そう言うと、部長は掲揚台へ行き、社旗と自らのパンツをスルスルと降ろした。
我々社員は社屋の窓から身を乗り出して、部長に盛大な拍手を送った。
部長は心労でグッタリとしながらも、パンツをこちらに振ってみせた。
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