出張

新幹線の中、窓の外を走り抜けるビル達を眺めながら、私は頭の中で復唱していた。

『次の博多駅で降りて、家族へ土産の明太子を買って、在来線に乗り換えて、あとはタクシーだ』

私は専務の命を受け、天竺に有り難い書類を貰いに行くのだ。

…私はハッとした。

危ない、明太子は生モノだから帰りに買った方がいいじゃないか。

私は手帳を広げ、『明太子』の横に『帰り』と赤ペンで書き加えた。

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