点字のラブレター

藤崎莉々

第1話 新学期

 僕の名前は、朝野菊あさのきく

菊って名前の人、なかなかいないだろ。

そう、あの花の菊が由来。

菊の花のようにみんなから愛されますよう

にって、母さんがつけたんだ。

でもずっと、もっとかっこいい名前の方が

よかったって、思ってるけどね。


 今日から新学期。高一はあっというまだったしな。そう考えながら、通学路を歩いていると、

「おおー、菊」

「あぁ、翔おはよ」

「おはよー」

 声をかけてきたのは、僕の幼馴染織部翔おりべしょう

保育園からずっと同じクラスという不思議な縁があるんだけど、今年はどうかな。

「今年も同じクラスかな」

「当たり前だろ」

「毎回同じクラスって奇跡じゃない」

「そうだな」

「一回も離れないって、僕ら磁石でも入って

んのかな」

「ははっ、かもな」

 そんな話をしていると、学校へ到着した。

もうクラス表が張り出されているらしく、

生徒達がざわざわしている。

「やったー、同じクラスだ」

「キャー、やったー」

 僕達も生徒達の間をかきわけて、

昇降口に貼ってあるクラス表を見た。

「えっとー、僕は一組だ」

「俺も一組」

「また同じじゃん」

「やっぱり変な縁あるんだよ、俺ら」

「変って言い方」

「わりぃ、わりぃ」

 そして僕らは、二階にある一組の教室へと向かった。

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