ばけもの
勝利だギューちゃん
第1話
世の中には、化けるとされる生き物がいる。
キツネやタヌキが、その代表例。
しかし、一番化けるのは、「女」だろう。
僕も高校時代は共学にいて、女子には興味があった。
贅沢は言わないが、せめて肩を並べて歩きたい。
誰でも、思ったことがあるだろう。
しかし、その願いは儚く散った。
でも、今僕は、女子高生と肩を並べて歩いている。
パパ活とか、いかがわしいお店とか、そういうのではない。
「どうしたの?お兄ちゃん」
「いや・・・少し昔の事を・・・」
「今日は、私に付き合ってくれる約束でしょ」
「ああ」
そう・・・
妹だ。
この春から、花も恥じらう(死語)女子高生となった。
僕と入れ違いに・・・
「私ももう、女子高生。がんばらなくっちゃ」
前途洋々である。
高校を卒業してから、まだ数か月しか経っていない。
そう・・・
数か月しか・・・
「あれ?〇〇くんじゃない?元気だった?卒業以来だね」
女の人から、声をかけられた。
向こうは、僕を知っている。
でも、僕はその女性の名前が出てこない。
「彼女?」
女性は小指を立てる。
「妹だよ」
「妹さん?似てないね」
よく言われる。
「お兄ちゃん、この人は?」
どうしよう?
わからないとは言えないし・・・
「私は、栗橋絵美。この間まで、〇〇くんの、クラスメイトだったの」
「初めまして。〇〇の妹の、香織です。兄が、在学中はお世話になりました」
「いいえ。こちらこそ。」
すっかり、馴染んでいる。
ちょっとまて・・・
栗橋さん?
栗橋さんと言えば・・・
「たしか、眼鏡をかけていて、失礼ながら地味系で・・・」
「悪かったわね。女は変わるのよ、化粧もしてるし」
「化粧?」
「ナチュラルメイクだけどね・・・」
『女は高校を卒業したら、化ける』
本当だ。
香織も、卒業したら化けるのか?
楽しみなような。
悲しいような・・・
ばけもの 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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