第21話 再会

 数時間後。


「ただいまー!」


 玄関からカイルの元気な声が聞こえてくる。


 俺達は玄関までカイルを出迎えに行くと、


「みんな、こっちに来て!」


 カイルは、手招きをしながら再び外に出ていく。

 言われた通り俺達も家の外に出ると、リリとその従魔達が立っていた。


「久しぶりねアイズ君! 元気そうで何より!」

『おう、リリもな!』

『本当に久しいねえ。変わりなさそうで良かったよ』

『ええ、こうして再会出来て嬉しいわ!』

『お帰り……アイズ……』


 モモ、ピピ、ポポだ。

 本当に久しぶりだな。三匹とも元気そうで良かった。


『ああ、ただいま! 俺もみんなと会えて嬉しいよ。あ、そうだ! ポポ、畑のことありがとうね』

『どういたしまして……ポポも……楽しかった……』

『そっか、それは何よりだ!』

『一方のあたし達は地獄の日々だったけどね……』


 ピピとモモからしてみれば、二匹で三匹分の仕事をこなさなければならなかったんだもんな。

 それを想像すると、確かにキツイよな……。


「三匹とも、アイズ君に会えて本当に嬉しそうね! あっ、その後ろに居る子達がさっき言ってた子?」

「うん、エリノアとフィルだよ!」

「初めまして、エリノアちゃん、フィル君。私はカイルの友達のリリ! 従魔共々、これからよろしくね!」


 リリは二匹に近づき、しゃがんで目線を合わせてから笑顔でそう言った。


『はい、こちらこそ!』

『……ああ』

「あっ、エリノアとフィルにも紹介しとくね。こちらはリリの従魔のモモ、ピピ、ポポ。二匹とも仲良くするんだよ」

『いやぁ、懐きテイムされる魔物がアイズ以外にも居るなんてね。アタシがモモだよ』

『初めまして、ピピはあたしね! マスター同士仲が良いことだし、あたし達とも仲良くしてね!』

『ポポはポポ……よろしく……』

『モモさん、ピピさん、ポポさんですね。お三方のことはアイズさんから聞いてます! こちらこそ!』

『よろしく頼む』


 挨拶を済ませた後、冒険の話をしたり、モモ達の仕事の話を聞かせてもらったりと、俺達は引き続きお喋りを楽しんだ。




 やがて夜のとばりが下り、肌寒さを感じるようになった頃。


「でね、モモったら――って、もうこんな時間! お父さんも帰ってくるし、そろそろ私たちはおいとまするね」


 リリが思い出したかのように口を開いた。


「うん、久々に話せて良かったよ。それじゃあ、また!」

『楽しい時間は本当にあっという間だねえ。じゃあアタシ達はもう行くよ。次に会う時は戦うことになるかもしれないけど、その時は手加減しないからね』

『無論、我らもそうさせてもらう。精々当たらないことを祈っておくのだな』

『それはこっちのセリフよ! まあ、お互い精一杯頑張りましょ!』

『ですね! 今日は楽しかったです! トーナメントが終わったら、またゆっくりとお話ししましょうね!』

『うん……じゃあ、また……』

『おう、お互いにいい結果を残せるように頑張ろう! じゃあな!』


 こうやって互いに健闘を祈り合った後、リリ達は手を振りながら帰っていった。


 その後、家の中に戻った俺達は、カイルからトーナメント当日の予定について聞かされる。


 どうやら今日は、道具を返すためにリリのところへ行った後、割り振られたブロックを聞きに行ってたみたいで、俺達は最初に試合が行われる第一ブロックだったとのこと。

 ただ、対戦相手は試合当日まで分からないらしい。


 まあ、誰が相手であっても俺達は全力で戦うだけだ。


 よし! 残りの五日間、精一杯特訓して優勝を目指すぞ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る