嘘吐きな妹と彼の病弱な義妹そして腹黒い幼馴染みに悪役令嬢と呼ばれる私、実は心の声が聞こえる聖女です
真理亜
第1話
「お姉様~♪ とっても素敵なお姉様~♪ 私はお姉様の妹に生まれて幸せですわ~♪」
これは妹のリズ。
「リタ様~♪ とっても麗しいリタ様~♪ 私はリタ様と家族になれる日が待ち遠しいですわ~♪」
これは私の婚約者カルロの義妹ミラ。
「リタ~♪ とっても優しいリタ~♪ 結婚しても私達ずっと友達よね~?」
これは私とカルロの幼馴染みルナ。
「リタは本当にみんなに愛されているんだね~!」
これは私の婚約者カルロ。
私はそれを聞いて苦笑するしかない。だって心の中ではそれぞれ、
『フンッ! なによ! カルロ様にちやほやされちゃって! 悪役令嬢のクセに生意気なのよ! 見てなさい! 絶対にカルロ様をあんたから奪ってやるんだから!』
『フンッ! なによ! お義兄様に愛されてるなんて勘違いしてんじゃないわよ! 悪役令嬢のクセに! 絶対あんたなんかにお義兄様は渡さないんだから!』
『フンッ! なによ! カルロとベタベタしちゃって! 悪役令嬢のクセにふざけんじゃないわよ! カルロに相応しいのはこの私よ! 絶対にカルロと別れさせてやるわ!』
三人ともこう言っているのだから...
ちなみに私の婚約者カルロは、
『リタがモテモテなのは分かるけど、ちょっと心配になるんだよな~...女の子だけならいいけど男にもモテモテだからな~...でもリタのことを一番愛してるのは僕だからね! 誰にも渡さないよ!』
こう言っている。
キャッ♪ もうカルロってば~♪ 嬉しいこと言ってくれるじゃないの~♪ でもね、私の方がもっともっとカルロのことを愛しているんだから~♪ 私だって誰にも渡さないわよ~♪
◇◇◇
私の名はリタ。伯爵令嬢だ。私には生まれ持った特別な能力が二つある。一つは人の心の声が聞こえるというもの。そしてもう一つは癒しの力を使えるというものだ。
ただ、癒しの力が使えることは公開しているが、心の声が聞こえる方は内緒にしている。誰にも知られていないはずだ。
私には聖女としての素養があったようで、神殿から聖女認定されている。そのお陰で公爵令息のカルロと婚約することが出来た。沢山のライバルを蹴落として。
なにせカルロはとにかく女にモテまくる。公爵令息という立場も然ることながら、金髪碧眼の人外じみたその美貌は全ての女を魅了する。かくいう私もその一人だ。本人無自覚なのが恐ろしい。
さて上記の三人は、まだカルロのことを諦めていない連中の筆頭である。妹のリズは大嘘付きで、カルロの義妹ミラは病弱設定。ルナは幼馴染み枠ということで、なんだかんだと理由を付けては、こうして私とカルロとの逢瀬に割り込んでくる。
優しいカルロは何も言わないが、私としては気が気ではない。心の声が聞こえるアドバンテージを生かしてこいつらを一人ずつ排除していこうと思う。
まずは一人目...
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