ユニークスキル『アームド』で、あらかじめ指定済みの固定装備を一時的に装着できます

「やるじゃない、タドル!」


「やりました!」


「あのバックステップ。

 あれがよかったわ!

 一撃与えてから、相手を倒せていない、そう判断するまで。

 その判断が早かったのよ」


「ステータス確認して、レベル上がってなかったから。

 すぐわかりました」


「なるほどね。

 シェルターでの防御も、機転が効いていて。

 あれでまた、ルーラーの意表を付けたように思うわ」


「正直、死んだと思いましたけどね」


「私の防御魔法シールドの準備も、未使用で終わってくれてホッとしているわ。

 それでも、物理ダメージを完全には防げなかったと思うし。

 雷術らいじゅつを使われるかも、という予測はあったのよ。

 それを阻害するすべは、検討していたけど。

 『タドルの攻撃を耐えたうえで、物理でくる』、ってのは、想定外だったわ。

 ごめんなさいね」


「いや。

 レベル、『32』も上がりましたし。

 なんか、こっちがごめんなさい。

 経験値、いただいちゃって」


「私が倒しても、経験値の『シモノケタ』しか上がらないしね。

 まあ、プレゼントよ」


「ただ一言だけ、文句を言わせてください。

 『事前連絡』、大事」


「人生には、スパイスも必要なのよ」


「ハバネロー」


 やっと、ここでクールダウン。

 冷静さを持って周囲を確認。

 ワイバーンが寄ってくる気配はない。

 『ドラゴンルーラーがこの地の主であり、その主を倒した相手に恐れをなしている』。

 そんな考察が生まれた。


「では、まあ、そういうことで」


「そうね」


「解★体」






*****






 ここから多少グロテスクな内容を含みますので、皆さまは美しい紅葉もみじ、っぽいワイバーンの映像をお楽しみください






*****






 ドラゴンルーラーの紫色の革鱗かくりんは、緑色のソレの硬度とは全く異なっており。

 吸魔の包丁で切断することは可能なのは可能、ではあるが。

 かなり労がかかる状態であった。

 がしかし。

 アームド・ミエルさんの槍が、ナギナタにフォームチェンジして。

 それを持ってして、ザクザクと、面白いように解体作業が進んだのでした。

 やっぱり2人でやると早いですね。

 初めての、共同作業、的な。

 

・肉質:無毒、味★、とても硬い、特性[ライトニングブレス]


 いつものごとく、解体中に、肉質情報が流れてくる。


「ミエルさん、この子、スキル持ちでした。

 『ライトニングブレス』って、出てます」


「肉質情報も習得できる仕様だったわね、その包丁。

 『ライトニングブレス』は雷のブレス攻撃よ」


「ということは!

 これで『害獣避け機能』を、俺も使えるようになる、ってことですね。

 助かるー」


「そうね。

 いや、まさか、こんな展開は、さすがの私も、予測してなかったわ」


 このとき、ミエルさんのナギナタが、ドラゴンの頭部の角に伸びる。

 軽々と切り落とされた角を見て、俺はあることを思い出した。


「それが、今回の『ギルド依頼の成果』になるんですね」


「いや、それは、勿体なさすぎるわ。

 ルーラーの角なんて、滅多に取得できるものではないわ。

 これは、私が天界に持って帰るお土産にするので」


「んじゃ、依頼は、どうするんですか?」


「ちょっと飛んで、狩ってくるから。

 あとは、あなた一人で解体できるわよね。

 じゃあ、さっそく行ってくるわ!」


 そう言って、ミエルさんは、『散歩行ってくる』程度のノリで。

 山へドラゴン狩りに出かけたのでした。

 ならば、俺は川(水道水)で洗濯(血の洗浄)を。


 そして、ミエルさんは30分程の時間で、レッドドラゴンの角を持って帰ってきたのでした。

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