天使はユニークスキル『飛翔』を持ち、空を飛べます

「あなた、持ってるわ!

 SSR中のSSRよ!」


「そういえば、『SSR』って、何の略なんですかね」


「私のやっているソシャゲでは、『Starryスターリー Specialスペシャル Rareレア』の略だそうよ。

 ほら、なんかキラキラしてるでしょ。

 だから『Starryスターリー』、なんだそうよ」


「しょうなの」


「でも、別のソシャゲだと別の意味だから、一般的な話ではないわ」


「ふーん」


「今はそんな話はどうでもいいでしょ。

 わかる?

 戦いは、もう始まっているの?

 問題を出すわ。

 今、この状態で、相手について理解できることは何?」






*****






 ここから再び俺がシンキングタイムに入りますので、皆さまはSSRミエルさん取得演出をお楽しみください






*****






「・・・。

 おとなしい、ですね」


「考察の方向は合っているわ。

 つまり、『こっちの出方を見ている』のよ。

 ドラゴンは今、このコンテナの上に乗っかているわ」


「マジで!」


「このシェルターの耐荷重性能から考えると、上に乗らせること自体は危機ではないわ。

 でも・・・。

 例えば、あなたがドラゴンの立場だった場合、どんなアクションを取る?」


「・・・。

 窓・・・。

 窓から、のぞきます」


「でも、ドラゴンは、そうしない。

 結果、もし私もあなたも『敵感知魔法』を使えなかった場合、『先攻権』はどちらが握るか。

 それは明白なの」


「シェルターから敵が出てくるのを待っていて。

 出てきた瞬間に、落雷・・・。

 ということですか」


「正解よ」


「ダメじゃん!

 完全に閉じ込められたじゃないですか」


「ワーストケース、となる場合・・・。

 このシェルターごと空間転移して逃げるわ。

 まあ、魔力消費的にキツイからあまり使いたくないし。

 もしかすると、ルーラーもついでに一緒に転送しちゃう可能性もあるので、絶対安心ではない」


「転送場所によっては、大惨事ですよ、それ」


「でも、大丈夫よ」


「なぜ、そう言い切れるんですか?」


「私、強いから」






*****






 そして、ついに開戦した。

 開幕は、『害獣避け機能発動』から。

 相手は雷属性の魔獣なので、ダメージはほぼ与えられなかった、と思うが。

 一瞬ひるんだ、その瞬間。

 ミエルさんが、シェルターの外へ飛び出す。

 そして、


「飛んだ!!!!」


 瞬間的に白い翼が背中から生み出され、天空に舞い上がった。

 それを確認後、俺はシェルターの扉を急いで閉める。

 観戦は窓から。

 即、ルーラーはミエルさんを追う。

 そして天空に、複数の雷の魔術コアが生成され。

 連続放出。

 それは的確にミエルさんを捉える。


 否、ミエルさんの『残像』を捉える、そんな表現。

 ミエルさんのスピードが、相手の攻撃速度を上回っている。


「攻守、交代だ!」


 そして天空に、複数の光の魔術コアが生成され。

 連続放出。

 それは的確にルーラーを捉える。


「ドラゴンもスピードは速い。

 でも、体が大きすぎるんだ!」


 全弾命中。

 ダメージは、確実に与えた。

 しかし、相手のHPバーは、大きくは減少していないだろう。

 そんなこと。

 当事者ミエルさんも、すでに理解済みであろう。

 だからこそ、次手を打つ。


「アームド!」


 ミエルさんの叫びに応じるのは、ミエルさんの体躯。

 瞬間、光に包まれ。

 あっという間の衣装チェンジ!

 その姿は、そう、まるで・・・。


「ヴァルキュリー!」


 全身を覆う白色の装飾鎧、そして同色の長い柄の槍。

 それが、なにも存在しない場所から生み出され、ミエルさんを天使から天使兵にクラスチェンジさせた。


光槍こうそう!」


 ミエルさんの背後に多数の魔法陣が生み出され。

 魔法陣から生み出される、光の槍。

 即、射出され。

 ドラゴンルーラーに突き刺さっていく。


「反応が、全然違う!」


 これは、効いている。

 間違いなく、効いている。

 それを、相手モンスターのリアクションから判断できる。


「天は我らの領域!

 他なるものは、地に沈め!!」


 連撃だ。

 ミエルさん、一気に、とす気だ。


 ドラゴンの声が聞こえてきそうだ。

 『一旦、態勢を整えてから、反撃を』。

 そんな戦略が。


 しかし、ミエルさんは、それを許さない。

 りに、キタ!


 鏡。

 そんな表現となった透明な板が、無数に作成され。

 ルーラーを大きく取り囲んだ。


「退路、全部ふさいだ!」


 そして、その板から、光の槍。

 光の槍が生み出され。


「プリズム・プリズン!」


 全弾一斉射出。

 しかし、光槍こうそうはドラゴンを直接狙わない。

 ドラゴンを通過して。

 反対に座する鏡に反射。

 その反射した光槍こうそうが、ドラゴンの背中に突き刺さる。

 そして、次々に、反射光が。

 ドラゴンの体を襲っていた!


「鏡面反射!」


 鏡の檻の中で、反射を繰り替えした光槍こうそうは、いつか、ドラゴンへと到達する。

 しかし、檻の中に存在する槍の数は、一向に減少しない。

 それは、鏡の中から、次々に新しい光槍が生み出されていっていることを意味していて。


 思考回路も焼き切られ。

 天使が巻き起こす混沌にて、その場への滞在を余儀なくされたルーラー。

 ソイツが、最後のあがきを見せる。


「強行突破だ!!

 ミエルさん!!」


 ルーラーはミエルさん目掛けて、突撃。

 魔法詠唱中の無防備な天使目掛けての、突撃。

 あまりにも高速に進行する戦況に、脳が追いつかない。

 だからこそ。

 ミエルさんの『次手』に。

 まったく、気づくことができなった。

 そして、それは、対するルーラーも、同じだったのである。


 ルーラーが鏡の檻を突き破った時点で。

 ミエルさんの装備する槍には、莫大なる光の魔力がそそぎ込まれており。


 つまりは。

 トドメを刺す。

 その準備が。

 完全に整っていた、ことを意味しているわけで!


「アーク・レイ・ジャベリン!!」

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