シェルターオープンにはMPを15消費します

「本来なら、『自分の力でなんとかしなさい』と言いたいのだけど。

 この『スキル』ばっかりは話が別ね。

 こっちにもポイントが入ってくるから、とってもね、『オイシイ』の。

 まあ、もらえるポイントは半分なんだけど。

 でも小数点以下は切り上げの整数なので、1ポイントのスキルを教えても、1ポイントもらえるわけ。

 これが意外に『チリツモ』なわけよ」


「可能な限り、スキルはミエルさんに教えてもらった方がいいわけですね」


「その通り。

 では早速、教えるわね。

 『魔法確認スキル』よ」


「それ、めっちゃ助かるー」


「さっきも言ったけど、『スキル所持者の近傍で、スキル取得と念じる』のよ。

 手とかは、つながなくていいから。

 あと、念じると同時に、それを言葉にしておきなさい。

 これは必要事項でなく、相手に対する礼儀のようなものであって。

 まあ、なんというか、通例ね」


「やってみます。

 『魔法確認スキル』取得!」


 ・・・


「再び、小鳥が泣きました」


「で、あなたは、何をすればいいのかしら」


「スキル確認スキルで確認ですね」


・スキルポイント:23

・スキル確認スキル Lv2

・ステータス確認スキル Lv1

・装備確認スキル Lv1

・魔法確認スキル Lv1


「増えてます!」


「で、次は?」


「『魔法確認スキル』、実際に使ってみます」


・フラン

・シェルターオープン

・喫茶店オープン

・シェルタークローズ

・喫茶店クローズ


「シェルターと喫茶店開くの、魔法なの!?」


「そうよ」


「しょうなの?」


「つまり、あなたは、既に魔法を使ってた、ってことになるわね。

 じゃあ、さらにここで、『魔法確認スキル』のレベルをあげてみなさい」


「『魔法確認スキル』、レベルアップ。

 アンド、『スキル確認スキル』の実行!」


・スキルポイント:22

・スキル確認スキル Lv2

・ステータス確認スキル Lv1

・装備確認スキル Lv1

・魔法確認スキル Lv2


「慣れてきたわね」


「『魔法確認スキル』、実行!」


・フラン [火]MP10

・シェルターオープン [特] MP15

・喫茶店オープン [特] MP20

・シェルタークローズ [特] MP5

・喫茶店クローズ [特] MP5


「『火』とか、『特』とか、『MP』とか出ました」


「『火』、『特』は魔法の属性、『MP』は消費魔力量よ」


「喫茶店オープンするの、MP20も消費してたの?」


「あれだけ大掛かりな魔法なのに、20しか消費してないのよ。

 これも、私の設計のおかげなのだけど」


「これ、MP切れの状態で、シェルターに逃げ込もうとしてたら、死んでたってことですか」


「その通りよ」


 先日、ドラゴン相手に使った、『シェルター・エアレイド(仮)』的な攻撃も、使い放題というわけにはいかないようだ。


「そもそも、俺、MP持ってんすか?」


「それが次の話題よ。

 今度は、『ステータス確認スキル』をレベルアップして」


「『ステータス確認スキル』、レベルアップ。

 アンド、『スキル確認スキル』の実行!

 アンド、『ステータス確認スキル』の実行!」


・スキルポイント:21

・スキル確認スキル Lv2

・ステータス確認スキル Lv2

・装備確認スキル Lv1

・魔法確認スキル Lv2


・Lv:26

・HP:200/200

・MP:105/105

・FAT:116(+120)

・FDF:114(+2)

・MAT:120(+30)

・MDF:116


「MP、105もある!」


 前回の確認では存在しなかった、『HP』と『MP』の項目が追加されていた。


「MP消費10のフランは、10回使えるわけですね。

 ・・・。

 10回、使い切ったら、どうなるんですか?」


「魔力、MPは自然回復するわ。

 体力、HPも同じね。

 ただし、HPの回復速度はMPの回復速度に比較するとすごく遅いわ。

 故に、ポーションや薬草の出番が多くなる、そのことを覚えておきなさい。

 MPはそれなりの速度で回復するので、MP切れを起こしても、粘って逃げていれば、また魔法を使えるようになるわ。

 なんとなくわかっていると思うけど、この魔力回復力は、熟練の魔術師の方が高くなる。

 駆け出しのプライマリーウィザードなら、あんまり期待はしないほうがいいわね。

 残りMPを意識して魔法を使うこと。

 よろしいかしら?」






*****






 この世界の様々なシステムについて、いまさら説明を受けた俺。

 もっと早く知りたかったよ。


 ミエルさんは喫茶店のいつもの椅子で、ソシャゲにいそしむ一方で。

 俺は厨房へやってきた。

 新術フランのテストを行なうのである。

 最初は、外で行おうとしたが、『シェルターは耐火性能が高いから、中でも大丈夫』という言葉を受けて場所変更した。


「フラン!」


 ちなみに、魔法を発動するのに、詠唱、および言葉で魔法名を叫ぶ、などは必要ないらしい。

 でも、した方が成功率は上がる、とのことでしたので、叫んでみました。


<<ボボッ!>>


 指先から炎の玉が飛び出して、天井にぶつかって落下して、そのままフライパンの上に落ちて鎮火した。


「あぶねぇ」


 魔法成功。

 その喜びはなく。

 その理由は俺が思い浮かべる魔法の形状、発動方法と、現実が異なったからであった。


「空間中に滞在しておいてほしかったんだよ。

 マッチみたいに」


 続いて今度は、水を入れるボールを、両手でつかむように、その手の間に炎が生まれるようにイメージする。


「フラン」


 今度は、火の玉が飛び出すことはなく。

 種火が手の間にゆっくり生まれた。

 それをそっと、フライパンの上に乗っけたパンに近づけ。

 ようとした瞬間に、大炎上。

 黒煙を残して空中霧散してしまった。

 パンも炭。


「ステータス確認」


・Lv:26

・HP:200/200

・MP:85/105

・FAT:116(+120)

・FDF:114(+2)

・MAT:120(+30)

・MDF:116


 MPが20減って、これは理論通り。

 しかし、炎の新術フランを使いこなすまでには、まったくもって訓練が足りないことを理解した上で。

 『トースト』『ピザトースト』のメニュー化を、当面延期することを決定したのだった。

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