恋する異世界満喫記

しゃけ大根

第1話 異世界に憧れを抱く

 


忙しい一日を終え、眠ろうとそっと目蓋をとじた時。


そこは夢にも見たほど憧れた、"異世界"だった。






よく晴れた朝。

通いなれた通学路、桜は一つも残らず散ってしまい、緑の葉っぱが生い茂る。


「あ~あ、なんでこんな一度きりの人生を楽しまずに、勉強なんかやってられるか!」

「はいはい、そーですねー。あと、それ何回も言わないでくれる?ウザイから。」


と、同級生であるアカリに言われた。顔からしてはっきりとわかる。

こんな気持ち誰にでもあるだろ、と心で吐いた。

この空気を変えるべく、苦笑いしながら


「またアカリはそんな事言ってー、少しは理解してくれてもいいじゃないかー。」


と、言う。

高校生であろう制服を着こなし朝早くから通学する二人。

二人の声は周りに程よく聞こえるほど大きい。


「俺は異世界に行きたいんだっ!」


心の底から願っていることである。


「また始まった、散々聞かされたし、何しろそういうのウザイから。」

「あと、人生楽しむとか、異世界いくだーとか矛盾してるんですけどー。」


あ、やってしまった。さっきこの空気を変えるべく頑張ったばっかりなのに。


「俺はっ、人生も楽しんで、異世界にも行くんだっ、!」


まぁ、どっちかって言うと異世界の方が行きたいんだがな。


「がんばれー、応援してるー。」


絶対思われてない。超絶無関心。

アカリは昔からそうだ。


「何それ棒読みじゃん。」

「応援してあげるんだから、感謝しなさいっ。」

「ふーん。」


そんな他愛のない話をよくしている。


学校のチャイムがなり、いつも通りのホームルームが始まる。

俺はそんな中、興味のない学校の話など聞く耳をもたず窓の外の景色を眺めた。


「えー、そろそろ進路について考える機会ができる…」


担任は、進路について話しているが、俺にやりたいことなんてない。

むしろ、今死んでもいいくらいだ。

朝に人生を楽しむと言ったが、気が変わった。

俺は早く異世界に行きたい。

異世界が本当にあるかどうかは知らんが、

異世界系の漫画などは大体読みつくした。

俺は異世界系でも『死』をカギに転生する話をよく読む。

だって面白いじゃん。

あと、主人公のスキルがチート級な話に憧れる。

俺TUEEEってしたいやん。

そんな想像をしているとあっという間にホームルームが終わった。

さて、今日も今日とてめんどくさいが頑張るか。


「はぁぁぁぁぁ、やっと終わったぁぁぁ。」


長かった学校が今にして終わった。

さてと、飯食ったあとにでも異世界漫画の続きを読むか。

そんなことを考えながら下校する。


「ふぅぅ、面白かったー。」


この間からはまっていた異世界漫画の続きを読み終えた。


「あぁ、もう11時か、寝よ。」 


部屋の明かりを消し、ベッドに潜る。

大きなあくびをしたあとそっと目を閉じる。


「ん、明るい電気消したはずなのに。」


突然の明るさに戸惑いながら目を開けると、そこはずっと憧れていた"異世界"だった。


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