十四話 お巡りさん、この人です!

 タラコ唇さんが忙しいのを傍目に今後の展望を考えていたんだが、一つ妙案が思い浮かんだので試そうと思う。

 成功すれば生命エネルギーと活動資金の両方が手に入る。リスクも高いのが悩み所だが、無為に過ごしてチート能力が発覚した結果、社会的に詰む可能性の方が高い気がする。俺一人なら野山に逃亡して仙人みたいに生きられるが、ギルメン達はそうもいかない。エインヘリヤルになって後々までグチグチと文句を言われたくはないし。

 それにタラコ唇さんの願いも叶えられなくなる。Vtuberは基本的に匿名だが身バレしてる人間なんて幾らでもいるし、特定される確率は割と高いんだよな。


「よし、これで20歳には見えるな。エナジードレインが手に入って良かった」

「お姫ちん。本当に綺麗……」


 鏡には金髪碧眼の大人の女性が映っている。透き通るような肌が美しい。身長は167センチの少し高め。

 胸もDカップくらいの大きさはあるし満足。スーツを着たらパリッとしたビジネスウーマンに見えるだろうし、ネグリジェでも着たら妖艶な大人の女にも見えるだろう。後でコスプレして遊ぼう。

 木々から分けて貰った精気の残りで肉体年齢を+6歳してみたんだが、大当たりだな。神様も良い趣味してる。


「でも、本当にやるの? お金なら私が何とかするよ?」

「ごめんね。トラブルが発生した時、大金を持ってるかで難易度が変わると思うんだ」


 エインヘリヤルの契約にしてもチートを餌にしなくても一千万くらいボンッと出せば頷く奴はそれなりにいると思う。

 死後を見据えてこっちの指定したチートを取らせるなんて真似も出来るわけで。やはり金は欲しいな。


「そんなこと言って、本当はエッチがしたいだけなんじゃない?」

「うっ」


 これから行く場所は歌舞伎町の風俗店だ。女性が客側として、もてなして貰えるのか疑問だったが電話してみると意外とOKだった。

 風俗嬢によってはNGな娘もいるらしいから事前確認が必要だが、店によるとレズ風俗店なんてものもあるらしいからそう身構えなくてもいいんだとか。

 採算度外視でハシゴしたくなるな。


「仕事でエッチ出来なくなった途端に浮気なんて……」

「い、いやあのね、そのねっ」


 いかん、思ったよりも動揺してる。スケベ心で浮き足立ってたか。冷静になれ。


「仕事が終わったら真帆さんともエッチするからっ!」

「そんなの言い訳にもなってないよっ!」


 ごもっとも。


「ううっ。わかった。ちょっと耳貸して……」


 流石の俺でも躊躇して提案しなかったんだが、仕方ない。


「アリス姫の状態で好きにして良いから」

「ぬゅわっ!?」


 ボソッと耳元で囁いたらタラコ唇さんは面白いほど狼狽えた。やはりロリコンの血が騒いだか。

 ちなみにアリス姫10歳、タラコ唇さん27歳である。

 え、通常状態の14歳でもアウト? でも背徳感がダンチじゃない?


「そ、そんな。べつ、別に私、ロリコンじゃ……」


 視線が彷徨ってるしヨダレがちょっと垂れてんだよなぁ。

 恋人が俺みたいなエターナルロリータで良かったな、タラコ唇さん。


「うっ、ううう。い、今の状態でもしてくれるなら、許す」


 そうだね。たまには別の味も欲しくなるよね。

 そっぽを向いて真っ赤な顔のタラコ唇さんを生ぬるい視線で眺めていたら怒って叩き出された。


 性癖なんて犯罪を犯さなきゃ大丈夫なんだから、そんな恥じなくていいのに。

 まあ、ロリコンがリアルで願望を叶えたら犯罪だけど。

 そう考えたら生きづらい生き物だな。ロリコンって。

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