第743話 アヴィドダンジョン・13
交代で休憩をしていると、MAPに表示されていた数字がゼロになった。
すると目の前の湖の水位が減っていき、それに伴い湖にいた魔物たちも移動を開始する。
水は完全になくなることはなかったが、湖の大きさは五分の三程度になっている。
また島に通じる道は一本だけでないようで、湖はいくつかに分断されていた。
「消えた水って何処にいったんだろうね」
「ミア姉。世界は不思議で一杯」
「ふふ、それもそうね」
ミアとヒカリが水の減った湖を見て話している。
確かに消えた水が何処にいったか言われれば気になる。
「ソラ、それでどれぐらいで水は元に戻りそう?」
「……五日後ぐらいかな?」
耳打ちしてきたルリカに俺は答えた。
MAP上に表示される時間は、一二二となっている。
「とりあえず渡ろう。ただ離れていてもエイトたちが攻撃してくるかもだから警戒だけはしていこう」
「それならいっそ倒してしまいますか?」
クリスの精霊魔法なら倒せそうではあるが……。
「それは止めておいた方がいいんじゃない? 島に渡ったら魔物と戦わないといけないし、魔力は温存しておいた方がいいわよ」
どうしようか迷っていたらルリカが言った。
精霊魔法はMPの消費が激しいし、歩いていても自然回復する俺と違って、移動中はMPの回復速度が遅くなるみたいだし、そのまま行った方がいいか。
マナポーションも騒動のお陰で結構消費しているからな。
それにこの場で倒しても、別の個体が湧くかもしれない。
MAPを見ていたが、少なくとも見える範囲の魔物は倒しても一定数まで増えるとそこで止まった。
無限に増え続けるようなら、今頃きっとダンジョン内は魔物で溢れていただろう。
三階で狩る人はあまりいないって話だったからな。
特に三階に来る人も基本鉱石目当てだから、水場のある方には近付かないみたいだし。
モンスターパレードなどの例外があるけど、きっと数に制限があるんだと思う。
そんなことを考えていたら、いつの間にか道を渡り切って島に到着していた。
危ないじゃないかと思うけど、並列思考がしっかり仕事をしていたから警戒に抜かりはない。
というか水場にいたエイトたちは、結局攻撃を仕掛けてくることはなかった。
水場の水を吸収して水を放出していたみたいだから、攻撃すればするほど水場が狭まり自分たちの首を絞めることになるのか? ということは豊富な水がないと攻撃出来ない?
機会があれば挑発をして試すのもありかもしれない。
ま、それはエイトの魔石が必要になった時にまた考えるか。
「ここから左側が沼地になっていて、ポイズンフロッグがいる。右側は池になっていてシーデビルがいるが、池の方はところどころに木が生えている。あと沼の方は分からないが、池の外周部は浅いみたいだ」
外周部はシーデビルのひざ下辺りまでみたいだし、遠見で確認する限り底がはっきり見える。
ただ中心部の方には上半身の半分以上が見えなくなっているから、それなりの深さはあるみたいだ。
浮いていなければだけど。
「沼地か。底なしの可能性もあるってことか?」
「ポイズンフロッグが沼地の中に潜っている時もあるし、それなりの深さはあるんじゃないかな」
ポイズンフロッグの体の大きさは、だいたい原付バイクぐらいある。幅は二倍以上あるけど。
「とりあえず近付いてどう動くか確認だな。近付いてこなければ挑発を使って誘き寄せればいいし」
残念ながら俺のMAPだと高低差まで分からない。
今は遠見スキルがあるから山や丘など視認出来るようになったから分かるようになったけど、沼はそれが泥沼であることが分かるが、どれぐらい深いかまでは分からない。
ちなみに泥沼だと分かったのは、ポイズンフロッグが動いた時に泥が跳ねたからだ。
森に足を踏み入れ、一〇分も歩けば開けた場所に出た。
目の前には沼地が広がり、ポイズンフロッグの姿も見える。
俺とセラ、ミアにアルゴとリックが森から出て沼地に近付いたが、ポイズンフロッグに動きは見えない。
一応こちらを認識しているが襲ってこない。
魔物の多くは敵に気付くと襲ってくるのに、こいつらは違う。
沼が自分たちにとって有利に働く戦場だと認識しているのかもしれない。
それを見て俺を残してセラたちは一度沼地から離れる。
俺も少しだけ後退すると、盾を構えて挑発を使う。
距離はあるが、この時も遠見スキルの恩恵を受けた形でポイズンフロッグにスキルの効果が届いた。
ただその範囲は狭く、挑発で引き付けられたのは一体だけだった。
それに関しては不満はない。
むしろ一体ずつ引き寄せることが出来るなら、俺としては申し分ない。
時間はかかるが、初めて戦う魔物と多対一とこちらの有利な条件で戦えるのだから。
俺はさらに一歩後ろに下がると、沼地を泳いで近付いてくるポイズンフロッグに集中した。
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