第708話 二階と準備

「それじゃ俺たちは先に戻るな」


 変遷が一段落したところで、アルゴたちは一階への入り口に、俺たちは一階の奥へと向かった。

 奥の方は人がいなかったのか、途中七体のゴーレムと戦うことになったが無事倒すことが出来た。

 通路の先には装飾の施された扉があり、その脇には台座と箱がある。

 台座に手を触れて、その後箱の中に必要なアイテムを入れることで二階への入場権を得ることが出来る。

 俺たちは一人ずつ登録を済ませていき、無事二階へと入ることが出来た。


「まだ戦いが終わってないな」


 入ったところで戦いの音が聞こえてきたからMAPを開いて気配察知と魔力察知を使ったけど、ゴーレムらしき魔力反応がMAP内に表示されている。

 人の数も多く、一体のゴーレムに対して一〇人以上で囲っている場所もある。

 その反応は一階では見られなかった感じだし、もしかしてミスリルゴーレムかもしれない。


「どうする?」


 魔力を流してMAPの見える範囲を拡大してみたが、その中にはフリーのゴーレムはいない。


「今日は帰って採掘の準備をしてまた来ない?」


 そうするか。

 二階は一階よりもさらに広いみたいだし、準備は必要だ。

 魔物の湧く率も高いみたいだからな。

 俺たちはまだ戦いが続くダンジョンから出ると、ひとまず借家に帰った。

 距離の関係か、まだアルゴたちは戻っていないからヒカリたちは先に風呂に入って体を休め、それが終わったら料理を作り出した。

 料理作りは五人に任せて、俺はアイテムの仕分けを行う。

 三階に行くのに必要な鉱石の中にはミスリルもある。採掘で採ることが出来ればいいけど、出来ないと買取を出すかミスリルゴーレムを狙うしかない。

 ミスリルは鍛冶の腕がないと扱えない難しい素材だけど、自分で打てなければ打てる人に任せればいいから用途は多い。

 ただ打てる人が限られているから、ミスリルの武器の依頼を出しても順番待ちが多くてすぐには手に入らないと聞く。

 やはりミスリル武器は一種のステータスというか、冒険者なら手に入れたい一品みたいだしな。

 アルゴたちがすぐに武器を作ってもらえたのは、持ち込んだ素材が希少なものだからみたいだ。

 鍛冶の打ち手としては、希少素材を使った武器を作れるとなれば喜ぶようだ。

 ……素材が手に入らなかった場合は、手持ちの希少素材を交渉の材料として放出するか?

 そうなると交渉が必要になるし、どんなものが好まれるかの調査も必要になる。

 ラス獣王国のフクスト村にいるドワーフのダルク辺りに聞きにいくか?

 あ、けど向こうとこっちだと需要が違ったりするから駄目か?

 一人悶々と考えていたら、アルゴたちが帰ってきたため相談することにした。


「難しいところだが、基本上位種の素材なら交渉に使えると思うぞ? それとこの国のダンジョンで出る魔物のものよりも他国のダンジョンのものの方が価格は上がる。あとは鬼人の素材よりもデーモンの素材の方が欲しがる鍛冶師は多いかな? あとは鍛冶も武器だけでなく防具を作る工房もあるから、皮素材も高値で取引されたりするな」


 ここのダンジョンだと皮素材とかだと三階でしか手に入らないからな。


「ありがとう。参考になった」

「いいってことよ。俺たちもいつまでもここにいるか分からないしよ」


 アルゴたちは武器が完成したら旅立つからな。

 今回も武器を工房に預けたそうだ。

 待つ間は借家でゴロゴロ、時々鍛練所に行って体を動かすと言っている。


「俺たちは明日休んでそれから二階に行くけど、その間の食事は作っておくか?」

「……頼めるか?」

「大丈夫だと思うぞ。明日休みだし、作って欲しいものを言えば作ってくれるんじゃないか?」


 そう伝えると早速アルゴたちは調理場に向かい、スキップして戻ってきた。

 どうやら大丈夫だったようだ。

 ただリクエストの中には俺に作って欲しいものもあったから、俺も料理をすることになった。

 料理スキルのお陰でこっちに来てからは結構料理が好きになったから別にいいけど、食材を買いに行かないとだ。

 翌日、食材の買い出しに出たところ、ダンジョンで一緒になった人たちと会った。

 今度はいつダンジョンに行くか聞かれたため明日から二階に行くと伝えたら驚いていたけど、祝福してくれた。

 ちょっと寂しそうだったけど。

 その後借家に戻って料理をする予定だと話すと、教えて欲しいと頼まれて、彼らが所有する家へと案内されてそこで料理をすることになった。

 借家だとさすがに狭いからな。

 ただ立派な調理場があるのに殆ど使ってはいなかったようだけど。


「それじゃミアとクリス、頼んだぞ」


 二人には料理指導を頼み、残った俺たちはダンジョンに持って行く料理とアルゴたちのための料理を作っていく。

 アルゴたちはマジック袋を持っているから、劣化しない日分の料理を用意することになったからとにかく数を作る必要があった。


「調理場が広いと色々と作りやすいさ」

「ん、このぐらいあると助かる」


 セラとヒカリの声を聞きながらフライパンを振るう。

 ルリカもカットした野菜を大鍋に入れて煮込んでいく。

 こうして料理は夜まで続き、翌朝俺たちはダンジョン二階へと足を踏み入れた。

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