アオギリズム Ⅲ
青切
【書評】三行で撃つ〈善く、生きる〉ための文章塾
「三行で撃つ〈善く、生きる〉ための文章塾」を読んだ。
作者は近藤康太郎さん。株式会社CCCメディアハウスから出ている。
以下は、その所感。
〇驚愕の書
驚いた。読んでこれほど驚いた本はない。
私と世間の評価がこれほど離れた作品は今までなかった。
インターネットで調べた限りだが、この本に対する評価は高い。
自分が世間とずれている認識はあったが、ここまで乖離を感じたことはなかった。ショックである。
低い評価を与えているのが私くらいなんて経験は今までなく、深い断絶を感じている。
この本は私のためには書かれていない本である。しかし、その理由は、作家やライターになりたくないからではない。
つまらないわけではない。ためになる部分もあった。
しかし、これほど高評価を受けている作家に対して、私などが言うのは失礼極まりないのだが、私はこの作者が苦手である。文章の趣味も合わない。
こう書いてしまうと、作者だけでなく、この作品を評価した人たちからもお叱りを受けるだろうが、苦手なものは仕方がない。
この本の感想を端的に書くと、次のようになる。
「前半は実用書だが、後半は啓発本。中高年に向けたお説教、精神修養の本。教養にふれた気になりたい中高年のニーズを満たす本。若者は最後まで読めない本」
この感想に、私が評価できない理由がひそんでいる。
つまり、私の精神年齢が低いから、この作品のよさがわからないのである。
であるから、作者および読者の方々においては、ご容赦いただきたい。
私の感想は、物のわからぬ子供のざれごと、嘲笑すべき暴言にすぎない。
〇文章作法の本として
前半は具体的な文章作法として役に立つ。
だが、そのためにこの本を手に取ったのならば、第25発以降は読まなくていい。
〇この本を読んで発見したこと
苦手と書いておきながら、時間をかけずに読むことができた。
つまらない文章は読めないが、苦手な文章は意外とすらすらと読めるのは発見であった。マイナスの興味であろうとも、無関心よりはましなのだ。
もしくは、本から何かを得ることを放棄していたからか。
〇お子さまの私には理解できない、高い評価に対する疑問
・文章に品性はあるか
・ポエムではないか
・安っぽい人生論が語られていないか
・なにを読まされているのだろうかという気分に読者を陥らせていないか
・自分(の文章)に酔っていないか
・(文章はうまいが)本人の評価と実力に
その結果、みっともない文章になっていないか。
・ひとりよがりな文章ではないか
・文章が傲慢ではないか。それに見合う中身があるか
・他人に読んでもらうつもりで書いているか
・悪文ではないか
・文章が間延びしていないか。緊張感はあるか
・書きたいことを書き散らしていないか。まとまりがあるか
・文章に無駄な飾りがないか。引用、たとえ、言葉の積み重ね。
表現がおおげさではないか。
・(読者層を考慮したのだろうが)たとえや事例が古くないか
・表現が過剰で逆にイメージを喚起していないのではないか。
もっとシンプルに書いたほうが文意・真意が伝わらないか。
〇最後に
いろいろ書いたが、この本には、千数百円の価値はあった。楽しめた。
私の文章を読んでくれている人にはお勧めしないが、私の文章が性に合わない人はぜひ読んでみてほしい。そういう人は、ここを読んでいないだろうけど。
私はこの本を読み、その評価の高さをうけて、他人から評価されるのをあきらめた。これからはさらに、好きなものだけを書いていく決心をした。
自分の作品が評価されない、読まれない理由がよくわかった一冊であった。
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